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はじめに:
木製の2段のカラーボックスの上段部分に16cmスピーカーを取り付けて,、ブックシェルフスピーカーに仕立てた様子を紹介します。箱の容量が40リットル以上取れていて余裕です。
制作に至る経緯
FOSTEX FE166Enスピーカーを再利用して、ステレオアンプで再生する音のステレオ空間を広げることが目的です。そのために追加するスピーカーを制作します。
追加するスピーカーは、主スピーカーよりも左右に離れて、聴く人のほうに近い場所に設置します。
我が家ではスピーカーを置ける場所が限られており、最初は、下段をプリンター置き場にしている2段の木製カラーボックスの上段に、段ボール箱に収めたスピーカーを置いてみました。結果は、箱の容量が30リットル程度で、16cmスピーカー用としては小さかったためか、再生音がいまいちでした。
それならいっそのこと、カラーボックスの上段の部分の全部をそのままスピーカーボックスにしてしまえばよいのではないか。間違いなく箱の容量は増やせます。寸法的には上段部の容積は40数リットルあります。そこでスピーカー取り付け用の前面板を作成し、カラーボックスの前面にかぶせてみたところ、それなりの再生音が得られました。
下の写真では、黄色の点線で囲んだ部分が2段のカラーボックスの前面部で、緑色でハッチングした上段部分が取り付けたスピーカーです。
その後はしばらく様子見でしたが、既存のカラーボックスに前面板を取り付けただけでしたので、気になる点が2つ残ったままでした。
気になる点の1つはカラーボックスの背板が薄くてペラペラなために、箱の奥の方で中の棚板との間に隙間ができていたことです。
カラーボックスは天板・側板・中間の棚板・底板は14mm厚でしっかりできてますが、後方の板(本記事では背板と呼びます)が薄いベニヤ板です。これが悪いということでは決してありませんが、スピーカーの筐体(キョウタイ:入れ物)に転用するには、隙間をなくすための対策が必要です。
気になる点のもう1つは、前面板に使った板の厚さが6mmなので、スピーカーをしっかりと木ネジで固定するのには薄い。板は固くガッチリしていて前面板(バッフル板)としての機能は果たせているので、スピーカーをしっかりと固定さえできれば、もっと安定した再生音が期待できそうです。
これらの2点を改善して、ブックシェルフスピーカーに仕上げます。
制作の様子
背板の補強の様子と、スピーカー取り付け部の補強の様子を紹介します。
背板の補強
隙間そのものは、背面から木ネジで棚板に締め付ければふさげます。プリンターを取り出し、上に積んであるCD収容ケースをいったん下ろします。そしてカラーボックスを取り出します。
せっかくなので、ついでに背板を厚くして補強することにしました。100均で買ってあったベニヤ板が使えます。
サイズ的には、上下の方向には天板と中板にかぶさる長さにピッタリ。木ネジで固定可能です。左右の方向は側板が出っ張っているので2cmほどカットしないと背板に密着させられません。久しぶりにノコギリで直線カット。1mmほどずれましたが誤差の範囲。補強板ができました。
背板に補強板を重ね合わせて、天板と棚板のそれぞれに木ネジ留めします。
これだけだと、背板と補強用板が密着していません。板の中間に水平方向に穴あけし、ビスとナットで固定していきます。
これで背板の補強は終わり。
スピーカーの取付部の補強
スピーカーを4mm径の木ネジで前面板に4箇所固定しますが、木ネジの径に対して板厚が足りません。前面板そのものを厚くすれば問題は解決します。そのためには、追加する板へスピーカー用の大きな穴あけ加工をしなければなりません。これって結構面倒。
前面板をカラーボックスに取り付ける際に密着と補強の目的で取り付けた周囲の角棒もしっかり機能しています。
今回は、木ネジをねじ込む部分にだけ当て木をして対処します。3cm幅の板があったので、3cmずつ切って、3cm四方の木片を4つ作ります。中央に木ネジの経より細い穴を開けておきます。それを前面板に接着。穴がずれなくするために楊枝(ようじ)を使いました。
木ネジを通す穴は太すぎると木ネジがゆるゆるになってしまいます。細すぎると木ネジが途中までしか入っていきません。この穴あけの塩梅(あんばい)は注意が必要です。失敗したらまた木片を作り直せばすみますが、できれば一発で終わらせたい。ドリルの径を3.5mmで穴あけして、無事一発で作業終了。
ダクトは紙製の円筒ダクトを段ボールの紙に丸穴を開けて貼り付けて、ビニールテープで前面板に貼り付けてあります。内側から見たようすです。
ダクトについては、やり直すかもしれないので、接着しないで、ビニールテープを貼り付けたままにして、剥がれてこないように木ネジで固定します。
アンプからのスピーカーコードをスピーカーの端子につなぎます。前面板をボックスの前面にはめ込んで、周囲を木ネジで留めていきます。
カラーボックスの下段の奥を覗き込んでみます。棚板と背板は密着しており隙間ができていないことがわかります。
前面板に端切れをかけて、今回の補強作業は終了です。
ブックシェルフスピーカーらしくなったと思います。
数値の記録
ダクトはその後再計算して、7cm正方形だった穴を幅5cm広げた直方体に修正。ダクトは穴のみで筒がつかない形に戻しました。設計に必要だった数値を記録しておきます。
箱の容積
V = 58 (幅) x 28(高) x 26(奥) = 42,224 (立方センチ) = 42(リットル)
スピーカー(FE166En)の諸元
Q0 = 0.25 f0 = 53Hz -> fd = 1.5 x f0 = 79.5 Hz
ダクトの断面積
ダクトの長さLは、筒なしの前面板の厚さ0.6cmとすることを条件にして必要な断面積Sを割り出した。必要なダクトの断面積Sは64平方センチメートルとなったので、当初開けてあった7 cm x 7 cmの穴の幅を2.2cm広げて9.2cm (幅) x 7cm (高さ) = 64 (平方センチ)に変えた。
L = ( 30000 x S ) / ( fd x fd x V ) – ( 0.825 x √S )
各数字を入れて計算する。
L = ( 30000 x 64 ) / ( 79.5 x 79.5 x 42) – ( 0.825 x 8 ) = 7.23 – 6.6 = 0.6 (cm)
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16cmスピーカーをカラーボックスに取り合えず取り付けてみた、前回の記事です。