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はじめに:
市販の木製ボックスに前面板を取り付けて、スピーカーボックスに仕立てました。容積は16cmスピーカーを余裕で鳴らせる40リットルサイズです。前面板は100円ショップで購入した材料を加工して利用します。作成したスピーカーボックスのあらましを紹介します。
木製ボックスのサイズ
市販されていた2段の木製ボックスを利用します。外形は以下の通りです。
- 幅:612mm
- 高さ:690mm
- 奥行:298mm
ボックスの上段の部分をスピーカーボックスに仕立てます。上段部分の外形は以下の通りです。
- 幅:612mm
- 高さ:305mm
- 奥行:298mm
上段部分の内形がスピーカーボックスの容積になります。下記の内形の数字を掛け算したものが容積となり、およそ45リットルとなります。
- 幅:584mm
- 高さ:276mm
- 奥行き:280mm
前面板の加工
木製ボックスの上段部分がスピーカーボックスに利用できるとわかったので、今回の作業は前面板の選択とその加工にほとんどの時間を使いました。
前面板の選択
ボックス上段部の前面の開口部のサイズは、外形が幅612mm、高さ305mm。内形が幅584mm、高さ280mmです。
長さが600mmで幅が300mmの板でおおえます。手持ちの板をボックス前面に合わせてみると、隙間が開かずに、はみ出すこともないことが確認できました。
100均で購入したまま保管中のMDF板とベニヤ板がありました。少し重くて頑丈そうなMDF板を使うことにしました。板厚は6mmです。
前面板に穴あけ
取り付ける16cmスピーカーはFOSTEX FE166Enです。仕様書で調べて、取り付ける丸穴のサイズは直径144mmにします。
バスレフ型スピーカーにするので、前面板にダクト穴も開けます。穴の寸法は70mm x 70mmの正方形にしました。
当初はカッターナイフで穴を切り抜こうとしましたが、とても刃がたちません。深さ2mmぐらいまで掘り進めて諦めました。
次に試したのがドリルと細ノコギリでの穴あけです。太さが6mmのドリルで穴の輪郭に沿って8mmぐらいの間隔で穴あけしていきます。穴あけが一周したあとで、細ノコギリでドリル穴を順番にたどって切り抜いていきます。カッターナイフはだめでしたが、ドリルとノコギリだと加工できます。
切り抜いたスピーカー用の穴とダクト用の穴から切り抜いたものの様子です。
切り抜いた断面を見ると、中までしっかりと固められている様子がわかります。
2つの穴を切り抜いたあとの前面板の様子です。
断面はギザギザしていますが、スピーカー用の穴は外からは見えませんし、ダクトの穴もカバーをかければ見えなくなります。ヤスリを少し掛けて仕上げます。MDF材はヤスリがけもしやすい。
前面板の補強
前面板は、ボックス前面の板厚14mmの部分にネジ留めで固定していきます。前面板のサイズがボックス前面のサイズよりも小さめなので、ねじ留めできる部分がとても狭い。
前面板の裏板に1cm幅の角棒を四角形に張り合わせて、ネジ留めしやすくすることにしました。
四角形に張り合わせる角棒がボックスにピッタリとはまり込むようにするために、精密にサイズ合わせをして隙間ができないようにします。
長辺用と短辺用とをそれぞれ2本用意します。
木工用ボンドで貼り付けます。まず長辺を2本貼り付けました。
つぎに短辺の2本を貼り付けます。
はみ出したボンドは乾かないうちにボロ布で拭き取ります。
1回目はサイズを1cmほど間違えてしまい、ボックスに前面板をはめられませんでした。角棒のサイズを調整。2回目は前面板を裏返して貼り付ける線を書き直してやり直しです。
2回目は前面板をピッタリとボックスにはめ込むことができました。
前面板を裏返したために、1回目に書いた線や角棒を貼り付けた跡が汚れたように見えてます。これも最後に前面板にカバーをかければ見えなくなるので、問題無し。このあたりが今回手間取ったところです。
前面板をボックスに取り付ける前の作業
前面板の加工が終わると、前面板にスピーカーを取り付け、スピーカーケーブルをボックスの穴に通し、ボックスに吸音材を入れる作業が続きます。
スピーカーを前面板へ取付
スピーカーはバッフル版に付けてから前面板に取り付ける予定でした。今回は前回の段ボール板と違って、直接スピーカーを前面板に取り付けても強度的には問題なさそうです。スピーカーを木ネジで直接前面板に固定です。
ダクト穴のサイズは、計算上はダクトの長さが0cmとなるようにしました。ですので穴は開けたままでダクトは取り付けません。
スピーカーケーブルをボックスに通す
スピーカーとアンプを繋ぐために、スピーカーケーブルをボックスのどこかで通さなければなりません。今回使用したカラーボックスには、追加の棚をとりつけるように、やたらと穴が空いてます。
半分ほどはほぞ穴なので貫通してませんが、残りは穴が貫通してます。貫通している穴の1つにスピーカーケーブルを通します。残りの貫通穴はビニールテープで塞ぎました。
ボックスに吸音材を入れる
木製ボックスをスピーカーボックスに流用する際の欠点は、ボックスの背板が薄いベニヤ板で、後ろの下段のほうに隙間ができてしまいます。この隙間を塞ぐための板を追加で貼り付けるなど対策が必要だと思いますが、すでに壁に並べて利用中の木製ボックスの中身や上の品物を取り出して作業しなければできなさそうです。
今回は、なるべく簡単に作業を済ませたいと思います。木製ボックスを壁際に設置したままで作業を終わりたかったのです。吸音材を入れて様子を見ます。ボックスの下段から見える隙間にはスポンジを詰めて塞ぎました。
前面板のボックスへの取り付け
ここまでくればあとは前面板を木製ボックスに取り付けて、前面にカバーをかけるだけです。
前面板をボックスにはめ込み、小さな木ネジ3箇所で仮止め。
アンプでCDを再生し、スピーカーから音が出るのを確認できたので、前面板の四辺の8箇所を木ネジで締め付けます。
前面カバーの取り付け
スピーカーらしくカバーを掛けてあげます。材料は100均で48cm x 90cmサイズの紺色のはぎれを購入します。前面板のサイズに合わせて余分な部分を折りたたみ、スピーカーボックスの前面にかぶせ、ずり落ちないように上で固定して、一連の作業は終了です。
作業した感想
ブックシェルフスピーカーという呼び方があります。今回作ったものは、文字とおりの棚(シェルフ)スピーカーと言えそうです。限られたスペースで十分な容積を生み出すことができました。
段ボールよりは加工が面倒ですが、木の板をノコギリで切り取る作業がなかったので、それほどでも面倒でもありませんでした。それよりMDFという素材は、薄さの割に強度の面でなかなかすぐれものだと実感しました。
前面板の固定法には頭を使いました。1cmの角棒を利用したのは、我ながらグッドアイデアだと思います。これまで段ボール箱スピーカーの制作を重ねてきて、その過程で残ってしまっていた資材たちを有効活用することもできました。
肝心の音ですが、左側のプラスチックケースに入れたFE166Enスピーカー(FL1)と向き合っていい音で鳴ります。
80Hzと60Hzの正弦波による再生も良好です。段ボール箱の場合の60Hzでのブルブルという震えがありません。
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今回使用したスピーカーの前身は段ボール箱スピーカーでした。それを棚に入れて聴いてました。
対向する形になるもう片方の16cmスピーカーはプラスチックの衣装ケースに入れて作りました。