自作スピーカーをアクティブスピーカーに変える

ダンボールスピーカーをアクティブ化のタイトル画面
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市販のダンボール箱に組み込んだ自作スピーカーに中古のアンプ基板を取り付けて、音量が調節できるアクティブスピーカーに改造しました。その制作メモです。

概要

下の写真は、しばらく前に作って鴨居に取り付けた、手製の段ボール箱入りスピーカーです。詳しくは”ダンボール箱に入れたスピーカーを自作しました”の記事を見てください。

ダンボール箱の中身はスピーカーが入っているだけです。簡易な構成でサラウンドっぽい音が聴けますの記事で紹介したように、単純にスピーカーを継ぎ足しただけで、スピーカーに入力できる信号がとても小さいので、スピーカーの下で座っているわたしにはほとんど音が聴こえてきません。

かといって、大元のネットワークCDレシーバーの音量ボリュームを上げれて音を大きくすると、一緒につながっている前や横にあるスピーカ-の音がうるさくなってしまいます。

ダンボールスピーカー
ダンボールスピーカー

ダンボールスピーカーの音量だけをもう少し大きくできないか?信号を電気的に増幅してからスピーカーに入力してあげたい。

この希望にあうのが、スピーカーに専用の増幅器(アンプ)を持っているもので、アクティブスピーカーと呼びます。

既成品はいろいろありますが、自作のダンボールスピーカーを活かしたいので、今回はアクティブスピーカーへの改造に挑戦です。

アクティブスピーカーとアンプ部のようす

信号を増幅するのに手頃なアンプ基盤をネットで見つけました。

アンプ基板
アンプ基板

ダンボールスピーカーに取り付けて配線します。

アンプ基盤をスピーカー箱に取り付けて配線
アンプ基盤をスピーカー箱に取り付けて配線

コード類をまとめ、アンプ基板にカバーをかぶせます。

アンプ基板にカバーを取り付け
アンプ基板にカバーを取り付け

ペアーのアクティブスピーカー完成です。

アクティブスピーカーペアー
アクティブスピーカーペアー

おおよその様子を紹介しましたが、この結果に至るまでに試行錯誤をしました。経緯を記録しておきます。

スピーカーをアクティブに改造していく経緯

課題

スピーカーは2つあり、鴨居の左右に一つずつ置いてあります。音量はそれぞれ個別に調節できるようにしたい。スピーカー用の微弱な電気信号をどうやって大きくすればよいのか?

電気信号の増幅方法がわからない

ネットワークCDレシーバーからのスピーカーを鳴らすための出力信号を増幅しなければなりません。アンプで電気的に増幅するのがよさそうですが、そんなおかしなこと?を試してみた記事はネットで見当たりません。

自分で簡単に試せるのは手持ちのPC用アクティブスピーカで大きく鳴らせるかどうかです。アンプからのスピーカー信号線をアクティブスピーカーの3.5mmステレオプラグにくっつけてアクティブスピーカーの音量ボリュームを回す。壊しはしないかとビクビクでしたが、ちゃんと鳴りました!

市販品のアクティブスピーカー
市販品のアクティブスピーカー

考えてみます。入力インピーダンスとかアンプの基礎知識が試される問題です。

アクティブスピーカーの入力インピーダンスは数キロΩ以上?
パソコンの信号出力コネクタの出力インピーダンスは数十Ω?
アンプのスピーカー出力の出力インピーダンスは数Ωです。

アンプのスピーカー出力を増幅する場合は通常よりも一桁ぐらい小さい音量にしかできない。アンプの増幅率が大きければ解決できる。大きな音量さえ望まなければアンプの増幅率は気にしなくてもよい。

わたしの希望は少しだけ音量が上げられればよいのです。このような試行と思考を経て、アクティブスピーカーに使われているアンプまたは相当品を探せばよいという結論に至ります。

アンプ基板

ネットで唯一見つけたのが先程掲載したアンプ基板です。
説明書きをそのまま引用してみます。

パワードスピーカーのアンプ基板、工場在庫放出品です。
ボリュームはPOWERスイッチを兼ねたタイプとなっており、電源はAC入力用の設計ですが直後にダイオードブリッジで直流変換しているのでDC電源入力でも動作します。
アンプICはTEA2025となっております。
ICの動作電圧はDC3V?15Vとなっております。

接続ケーブルは付属しません。
Rスピーカー出力はケーブルが基板から直接出ています。
研究用・改造ベースのアイテムですので、各入出力は基板から直接取るなど必要に応じて適宜処理してください。
実験・研究用に、パワードスピーカーの製作にいかがでしょうか?

工場在庫放出品のため、汚れ等あり、個体により程度差ございます。
中古・ジャンク扱いとし、保証なしの条件で格安で販売いたしますので、予めご理解の上お求めください。
【製品の特徴】
・パワードスピーカーのアンプ基板
・AC入力基板設計(DCでも動作)
・電源スイッチ付きボリューム

【注意事項】
※こういった性質の商品の為ジャンク扱いとなりますので、一切の保証はございません。
※個体の状態は様々です。程度の良いものもあれば、多少の錆や基板の一部欠け、傷等の瑕疵もございます。
※自己責任にてご使用ください。当製品の使用による機器の破損や事故には弊社は一切の責任を負いません。
※知識のある方・自己責任を負える方のみお求めください。
※基板の部品はリビジョンやロットにより写真と異なる場合がございますがご了承ください。
※工場在庫放出品につき、個体により状態、程度が異なります。予めご了承ください。
※ジャンク品はノーサポートとなりますので、知識のある方のみお求めください。
※商品に関しての質問にはお答えしておりませんので予めご了承ください。

【製品仕様】
入力電圧(参考値): AC4V?10V
DC5V?12V
サイズ: 奥行(突起部分含まず)約52mm×幅約54mm×高さ(最大)約33mm
重量: 約28g

注意書きだらけでしたが、DC5V~12Vで動作するので手持ちのACアダプターが使えそうです。ほかに選択肢はなく、2つ買って送料を入れても1000円にもならないので 購入しました。3日足らずで届きました。

ネットの説明書きとレビューにあった”イヤホンジャック”という言葉が頼りです。正直なところ、パワードスピーカーってなんのこと?でしたが、どうやらアクティブスピーカーと同義で使われてるようです。アクティブスピーカーの中身はこういう作りになっているんだとわかったのは、作業が終わる頃になってからでした。

現物確認

アンプ基板を真上から見た様子です。

アンプ基板
アンプ基板

端子部が2箇所。赤と黒のコードRスピーカー出力ケーブルのようです。電源と入力信号のコードをどこにつなげばよいか?

基盤を横から見た様子です。

アンプ基板を横から見る
アンプ基板を横から見る

裏側のパターン面です。

アンプ基板パターン面
アンプ基板パターン面

テスターや目でパターンを追いかけていきます。

デジタルテスター
デジタルテスター

部分回路図作成

端子部からのパターンを追いかけて回路図を作っていきます。

アンプ基板の回路図1
アンプ基板の回路図1
アンプ基板の回路図2
アンプ基板の回路図2

電源部周りの様子がわかりました。4つのダイオードのブリッジと電解コンデンサによる整流回路です。直流電源を繋ぐ場合は+-がどちらでも良いことを確認。

信号入力部分は結果的には左右のステレオ入力回路だとわかりましたが、小さな部品とかで隠れていてどちらが右でどちらが左かが最後まで追いきれませんでした。

ICの回路図もネットで探して、端子配置を確認します。

ICの端子配置図
ICの端子配置図

なんとか端子部の信号配置が確認できました。

工作

アンプ基板の電気回路にほぼ確信が持てたので、配線作業に取り掛かります。

端子部にはめられるコネクタがあればそれに配線できてよいのですが、現実にはそんな便利なコネクタの入手はできません。コードを基盤に直接はんだ付けすることにします。狭いところへのはんだ付けなので、コードは細いものでないと使えません。10芯のコードを近くのホームセンターで買ってきました。

コード類
コード類

コードを15cmぐらいに切断して信号と電源の引出線を作っていきます。

必要な長さのコードを制作
必要な長さのコードを制作

アンプ基板を固定

基盤がグラグラと動くとはんだ付けができません。アンプ基盤を固定します。

アンプ基板を固定
アンプ基板を固定

はんだごては2つ用意しました。最初は右のPWB修正用を使いましたが熱量が足りなくて、もう少し熱くなる40W(水色の方)が作業しやすかったです。

はんだごて2種類
はんだごて2種類

コードをはんだ付けしました。赤と緑がDC電源。青がR信号入力、黒が信号グラウンドです。

コードをはんだ付け
コードをはんだ付け

すこし拡大。これらは2枚めのアンプ基板の様子です。1枚目は黄色のコードをL(左)信号入力につなぎましたが、左チャンネルは使わないのが分かったので、2枚めは右チャンネルの信号線入力用の青色コードをつないだだけです。黒のグラウンド用コードは太めですが、これしか手持ちがありませんでした。

端子部のピンは間隔が狭すぎるので隣と接触してしまうため、はんだ付けの場所にはできません。ピンにつながっていてなるべく広いランドに突き出ているピンを選びます。このはんだ付け作業が一番難しい。コテをしっかりと当てないとハンダが溶けないし、あまり当てすぎたり何度も失敗するとランドが剥がれてしまいます。過去に何度も失敗の経験済みです。

コード接続
コード接続

テスターで、はんだ付けがきちんとされたか、隣とショートしたりしてないかを確認します。

テスターで導通確認
テスターで導通確認

動作確認

DC電源を用意

ACアダプターは6V出力が手元にありました。プラグ側のコードを切断してコードの被覆をむいてアンプ基板の赤と黒のコードにつなぎます。

ACアダプター
ACアダプター

通電を確認

ACアダプターはスイッチ付きの電源タップに差し込みます。この電源タップはパソコンの上に置いてあり、手を伸ばせば操作できます。ACアダプターの電源オン。アンプ基板のLEDがオレンジに点灯してひとまず安心です。

動作確認

イヤホンジャックにイヤホンをつなぎます。青と黄色の信号線のむき出した部分を手で触ると、ブーっとノイズ音がイヤホンから聞こえます。実はこのアンプ基板がステレオ動作するものだということがこのときに実感できました。青を触ればイヤホンの右、黄を触ればイヤホンの左がブーです。その後ICの端子配列を見てステレオ用と確認。R(右)入力の入力端子は青のコードを繋いだほうとわかりました。アンプ基板の動作が確認できました。これでひと安心です。

コードを結束

取付時にそれぞれのコードに無理な力がかかりにくくするために結束用の針金を巻き付けます。

コードを結束
コードを結束

取り付け

アンプ基板のコード付作業はとりあえず1枚だけにしておいて、ダンボールスピーカーへのアンプ基盤の取り付け方を考えます。

スピーカーへこれまでにつながっているコードはどこかで切断して、その間にアンプ基板の信号入力とRスピーカー出力線を繋げば良い。
電源コードをどう引き回すか?ACアダプターからの直流電源を最終的には2つのアンプ基板に供給します。

これらの条件を考慮して、アンプ基板はダンボールスピーカーの箱に直付けすることにしました。電源線を分岐させて鴨居の上を這わせることにしました。

アンプ基板の直付け方を決めるのには困りました。スペーサーでスピーカーの箱にネジ止めするのが正攻法ですが、箱の内側からネジ止めしなくてはなりません。いまさらスピーカーの箱を分解したくはありません。

ホームセンターで探しても適当な方法は見えてきません。困った上で、足の長いピンを箱に突き刺して止める方法を試しました。ピンだと空く穴は小さくてすみますし、基盤は軽いのでなんとかなるのでは?

カーペット鋲
カーペット鋲

基盤を完全に固定はできませんが、基盤は軽いのでピンが抜け落ちることもなさそうです。基盤の裏はむき出しですが箱に接触しても紙なので絶縁は大丈夫でしょう。

鋲でアンプ基板を固定
鋲でアンプ基板を固定

電源と信号のコードのそれぞれを結びつけます。

各コードの配線を接続
各コードの配線を接続

動作確認

右側のスピーカー周りの配線ができました。ACアダプターの電源を入れてアンプ基板のLEDの店頭を確認。CDレシーバーでラジオ放送を流してみます。これで聴こえればOKです。OK!でした。

結びつけたコードのそれぞれに絶縁テープを巻き付けます。敢えてはんだ付けしてません。さらに全部のコードに壁紙を補足テープ状にしたものを巻き付けて保護しました。

コード類の保護
コード類の保護

左側も同様に作業

左側のスピーカーも同様にアンプ基板から加工して動作確認までができました。

アンプ基板のカバーを追加

あとはすこしでも見てくれを良くします。

アンプ基板にカバーを掛けることにしました。作成のポイントは、音量ボリュームのつまみが必要なときに回せるようにすることと、熱がこもらないようにして通気性を保つことです。

ボリューム調整が出来るように、カバーは片開きにしました。

アンプ基板に片開きのカバー取り付け
アンプ基板に片開きのカバー取り付け

カバーの下はわざと隙間を開けます。上は覆ってません。正面にLEDが見えるように穴を開けました。紙の細工なので自由自在に設計加工できて楽ですね。

アンプ基板にカバーが付きました
アンプ基板にカバーが付きました

全体の様子

完成した様子の写真です。

アクティブスピーカー完成(右側)
アクティブスピーカー完成(右側)
アクティブスピーカー完成(左側)
アクティブスピーカー完成(左側)
アクティブスピーカーを離れて眺める(左側)
アクティブスピーカーを離れて眺める(左側)
アクティブスピーカーを離れて眺める(右側)
アクティブスピーカーを離れて眺める(右側)
左右のアクティブスピーカーを眺める
左右のアクティブスピーカーを眺める

以上、思いつく範囲でメモにしてみました。

外観をもう少しスッキリさせる

(この項は2022/06/17に追記)
アンプ基板から出ているコード類の出っ張りがちょっとみっともないので、コード類を箱に寄せて紙テープでなるべく隠すようにしてみました。すこしはスッキリしたかも。

アクティブスピーカーのケーブル処理(右側)
アクティブスピーカーのケーブル処理(右側)
アクティブスピーカーのケーブル処理拡大(右側)
アクティブスピーカーのケーブル処理拡大(右側)
アクティブスピーカーのケーブル処理(左側)
アクティブスピーカーのケーブル処理(左側)
アクティブスピーカーのケーブル処理右側拡大
アクティブスピーカーのケーブル処理右側拡大
ケーブル処理後の左右のアクティブスピーカーの様子
ケーブル処理後の左右のアクティブスピーカーの様子

試聴

予定通りに聴こえます。
ボリュームの調整は低めにしてます。それでも音に囲まれたいときはACアダプターの電源オンにすれば頭上で音が広がってくれます。うるさくなればACアダプターの電源オフ。

作り終えての感想

いろいろなメディアをサラウンドな環境でよりいっそう楽しめます。NW CDレシーバーでいろいろなメディアを楽しむことが、よりサラウンドな音でできます。

やりたいことさえはっきりとイメージできれば、実現する手段はあります。これからも、毎日の生活でいろいろと工夫して楽しみます。

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“リアスピーカーを追加して部屋を音で満たす”へのリンクです。
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