はじめに:
自作バスレフスピーカーのダクトを見直します。適切なサイズの穴を開けてパイプを付けないダクトに落ち着きました。ダクトの断面積をパラメーターにしてダクトの必要長を計算してみました。ダクトの必要長がバッフル板の厚みと等しくなるダクトの断面積が見つかります。その断面積でダクトの穴を開ければ、バッフル板の厚みが必要なパイプ長となるので、新たなパイプの取り付けは不要です。低音の強調にこだわらなければ、ほどよい音が出るバスレフスピーカーだと思います。
パイプなしダクトのようす
今回紹介する自作バスレフスピーカーは2台。FostexのFE166Enスピーカーをプラスチックの衣装ケースに組み込んだスピーカーV1と、FE166Enをカラーボックスに組み込んだスピーカーV2です。それぞれがフロントスピーカーのFE166NVバックロードホーンと協働して、ステレオ空間を広げるのに貢献してます。
こちらはその1台V1の様子です。スピーカーの下にポッカリと丸い穴が開いてます。

こちらはもう一台のスピーカーV2です。スピーカーの左側に四角い穴が開いてます。

ダクト長を計算する
バスレフ型は、スピーカー単体を取り付けた前面板に筒状のダクトが加わります。
ダクトの長さL(cm)は以下の式で計算できます。
L = ( 30000 x S ) / ( fd x fd x V ) – 0.825 x √ S
Sはダクトの断面積S(cm2)です。√S表記はSの平方根を意味します。
fdはダクトの共振周波数で80Hzに決めました。この値は使用スピーカーFE166Enの仕様である最低共振周波数f0=53HzとQ0=0.25を元に決めました。
Vはスピーカーの入れ物(エンクロージャー)の容積です。使用しているスピーカーV1:内容積32L(リットル)とV2:内容積42Lの2台について計算します。
ダクトの断面積Sの値を段階的に変えて、必要なダクト長L1とL2(L1はV1のダクト長、L2はV2のダクト長)を求めていきます。
パラメーターSはFE166Enの実効振動面積132cm2を基準(100%)にして10ポイント刻みで変えて行きます。それぞれで必要なダクト長L1とL2の長さを表示します。例えば比率が50%でダクトの断面積が66平方cmの場合は、V1のダクト長L1は2.9cmでV2のダクト長L2は0.7cmとなります。
L1(cm) | L2(cm) | √S(平方cm) | S(平方cm) | 比率(%) |
9.8 | 5.3 | 11.5 | 132 | 100 |
8.3 | 4.3 | 10.9 | 119 | 90 |
7.0 | 3.4 | 10.3 | 106 | 80 |
5.6 | 2.4 | 9.6 | 92 | 70 |
4.2 | 1.5 | 8.9 | 79 | 60 |
2.9 | 0.7 | 8.1 | 66 | 50 |
1.7 | -0.1 | 7.3 | 53 | 40 |
1.1 | -0.5 | 6.8 | 46 | 35 |
0.6 | -0.7 | 6.3 | 40 | 30 |
-0.4 | -1.3 | 5.1 | 26 | 20 |
-1.1 | -1.5 | 3.6 | 13 | 10 |
バッフル板(スピーカとダクトがついた前面板)の板厚はV1が1cmでV2が0.6cmです。上記の表でLの値が板厚と近い値を調べます。
V1の場合は、L1=1.1cmの行のS=46cm2
V2の場合は、L2=0.7cmの行のS=66cm2
が近い値となります。
ダクト穴のようす
現状のダクト穴のようすがこちらです。V1のダクト穴の半径r=3.8cmで面積が約46cm2です。

V2スピーカーのダクトは縦7cm横9cmの四角形で断面積は約63cm2です。

以前のダクトの様子
これまで使っていたそれぞれのスピーカーダクトのようすです。
V1では市販のダクトを利用して取り付けてました。ダクトの断面の半径は2.5cmです。
これまではダクトの効果が感じられなかった。その思いが今回の計算を行ったきっかけです。
今回きちんと計算してみてダクト穴が小さいことがわかりました。取り付けてあったダクトをはずして、半径r=3.8cmまで穴を広げました。

取り外したダクトです。

こちらはV2の以前のようすです。左側のビニールテープでコテコテにしてある部分がダクトです。段ボール紙でダクト長3cmの四角い筒を作って貼り付けてました。こちらはそこそこバスレフ感は感じられていた気がしてましたが、この四角い筒をはずしてしまうと、縦7cm横9cmの四角い穴が出現。こちらは何もしなくても断面積63cm2になりました。なるほど、バスレフ感が感じられていたわけだ。

取り外したダクトのようすです。ダクト長が3cmぐらいあります。

裏側のようすです。

カバーを掛ける
スピーカのエンクロージャにカバーをかけるとダクト穴は見えなくなります。

カバーは100円ショップで購入した端切れを使用してます。
