はじめに:
真空管アンプTRK3488で真空管を交換したりグレードアップ用の部品に交換して、音の変化を楽しむようすを紹介します。アンプを組み立てるときに生じた不具合や、4年後に発生したノイズに対処したようすも紹介します。
TRK3488真空管アンプのようす
下の写真はキットを組み立てて制作したトライオードの真空管アンプTRK3488です。組み立てたのは2010年頃でした。TRK3488は全体のデザインや黒と茶系統の色のバランスが良いです。眺めているだけで気分が落ち着きます。
アンプを前から見たところです。

カバーをはずしてみました。

音の変化を試してみる
TRK3488真空管アンプをより楽しめるように2種類の選択肢が用意されていました。
出力管を聴き比べる
このアンプは出力管(パワー管)としてEL34かTK88のどちらかに差し替えが可能です。スイッチを切り替えるだけでどちらでも利用できます。同梱のEL34に加えて追加でEL34とTK88を購入しました。その時の気分で差し替えて楽しみます。
EL34とKT88を聴き比べる
KT88は、使い始めに音がキンキンして聴けたものではありませんでしたが、通電時間が長くなるにつれてエージング効果で音がこなれてきました。KT88は、ボリュームを上げないでBGM的に音楽を楽しむのにちょうどいいです。音がすっきりと聴こえてきます。
EL34は、KT88ほどパワーがありません。パワーがない分だけボリュームを上げて聴くことになり、音が豊かに聞こえてくる感じでわたしの好みです。
EL34はしっとりとした音、KT88は派手な音、というのが私の定義。たでこれは両者を比較しての違いです。
そして一般的に言われているように、真空管アンプは、トランジスタアンプと比較して暖かい音がします。
TRK3488、おかげさまで、安定して動作してくれてます。いい買い物でした。
出力管のメーカーを取り替えてみる
真空管は同じ型番でも幾つかのメーカーで生産されています。メーカーを変えてみると、それだけで音が違って面白いです。出力管のEL34とKT88は、2、3社のを購入して聴き比べました。
左2つがKT88、右2つがEL34。

そのうちの自分にはこれだというのがあります。
初段管を取り替える
初段管(プリ管)の12AX7は、最初はgolden dragon製に取り替えて満足してました。
ある組立記事でFullMusic製をおすすめ。12AX7はそんなに高くないので、Full Music製も試したいと思いました。が、アマゾン価格で1本3390円、これは凄い(値段が!)いい音なんでしょうねえ……。後日、購入して取り替えました。音がとてもスッキリしました。
Full Music製の12AX7に取り替え
TRK3488の初段管12AX7をとうとう新しくしました。CDを聴いても、より音が分離しながら、低音も締まって、音楽全体をしっとりと聴くことができます。
12AX7のアップ。

カップリングコンデンサーを取り替える
トライオード社のTRK-3488キット特設ページでアップグレードキットのカップリングコンデンサーの項目で推奨の、ドイツ製ムンドルフコンデンサー。ネットで比較的手ごろなのが見つかりました。(2023/03/05削除)
audio-K ムンドルフ コンデンサーの M-CAPコンデンサー
メールで在庫確認して、銀行口座へ振り込み、2日ほどして入手できました。
入手したパーツ

カップリングコンデンサー、音を左右する重要な部品です。
一個500円を4個、送料とか振り込み手数料とかもろもろで、2000円プラスアルファ。
その日のうちに交換^^; 劇的な音の変化はありませんが、音がすっきりしました。自分で行動して結果が得られた、というのがうれしいですね。
真空管を外し、本体ひっくり返して、裏ぶたを外した内部の様子です。

コンデンサーを取り換えた後の内部の状態。

今回行ったのは一番簡単な作業ですが、コンデンサーを取り付けるときに、コンデンサー本体に熱が極力か伝わらないようにすることには、注意しました。
メーカー推奨コンデンサーと抵抗のセット
TRIODE TRK3488用 アップグレードパーツセットもありますが、今使っているアンプの抵抗を取り替えるのは、全部を分解するのに等しい。
さすがに私には無理・・アー、お金があったら、もう一度アンプキットを買って組み立てたい。どんないい音がするのかなあ・・
オーディオを楽しむことは、果てしがありません^^;;
ハンダ付けのコツ
ところで、トライオード 真空管プリメインアンプキット TRK3488のここが凄い!! の記事は、とても詳しく参考になります。
はんだ付けの良しあしについての画像説明があります。「はんだ付けのコツについて」は大事なポイントです。
私なりに表現させてもらうと、「容量の大きめ(40wから60w)のはんだごてを使い、取り付け先の部品とかプリント基盤を最初に温めます。温まりすぎないうちにハンダを流し込む」といった感じです。
部品の形状や、その取り付け先の形状ごとに、温める時間が異なるのが微妙なところですが、はんだ付けしたい部分にハンダを当ててみて、自然にハンダが溶けだすくらいのタイミングが一番よいように思います。
以上、TRK3488アンプキットであらかじめ用意されていた選択肢の2種類を実施して存分に楽しんでいるようすでした。
不具合への対処
以下、アンプキットを組み立てるときに生じたちょっとした不具合への対処と、4年後に生じたノイズへ対処した時の様子を紹介していきます。
組立時に出会った不具合
TRK3488アンプキットの組み立ては、プリント板への部品組み付けと、ケースに取り付いているロータリースイッチやトランスなどの部品からプリント板への配線だけなので、すべての部品をケースに取り付けたり配線したりするのに比べれば、比較的容易な作業です。
とはいっても、電源ランプのLEDが点灯しなかったり、ハム音(何も入力しなくてもブーッという音が出てくる)という不具合が起こりました。
電源LED不具合への対処
電源ランプがつかないのは、LEDの初期不良だと思い、秋葉原まで部品を探して取り替えました。が、やはり灯きません。結局、LED付近の配線のはんだ付けをやり直すことで解決。はんだ付けは適当にやってしまうと、裏切られます。中高校生のころは、結構やってたんですけれどね。狭いところへ小さいものへのはんだ付けはむずかしい。
ハム音への対処
ハム音は、初段真空管の12AX7を別のに交換することでようやく解決。真空管の初期不良のようです。このあとは安定して動作しています。
4年後に生じたノイズの不具合
キットで組み立てたTRK3488を使いだしてから4年ほど経ったときのことです。ガリガリノイズが出るようになりました。
レコードを聴いていると、ときどきバリッバリッというか、ガリガリという音が混じるようになりました。不規則ですが、だんだんその頻度が増えてきたような・・
レコードをかけて時間が経つと、やっぱりガリガリと雑音がします。最初はレコードのキズかなと思ったりするんですが、そうでもありません。ガリガリ、ガリガリ、かなり大きな音。怖いです。
このノイズって、結構怖いんです。そのうちどこかが破裂するんじゃないか?と思わせられるような、そんな恐怖にかられます。もう寿命かな?
覚悟を決めて、それでもいきなりアンプの中を開けたりはしません。抵抗とかコンデンサーの不良でしたら、ほとんど諦めモードですが、真空管の劣化も考えられます。
一番好意的?に解釈すれば、真空管のソケットの接続が悪くなったかもしれません。真空管って意外とあります。そのときは、真空管を差し込みなおすことで改善が見込めます。
真空管の劣化? 真空管12AX7をそっと抜いて、チェック。といっても目視では何もわかりません。元に戻して、EL34を抜いて、チェック。ちょっと黒ずんでいるかな?
左右を入れ替えて差しなおします。どちらかの真空管の劣化でしたら、ノイズの出るのが右左で違ってくるはず。電源を入れて、数時間。ノイズは出ません。ほっとしたというか、命拾いをしたというか・・
いまも、ノイズなしでレコードが聞けてます。まずは一安心。
真空管アンプでガリガリとノイズがでたらまずは真空管を差しなおしてみましょう
今回は、たまたまこういう感じでしたが、いずれは部品のどこかが壊れるはず。なんかハラハラドキドキさせられてます。それでもまあ、それまでは精いっぱい楽しむことにしましょう!
真空管の接触ノイズについてちょっと検証
下の写真は、私が使っているアンプの、出力用の真空管です。こんな形をしています(再掲)

左から2つがKT-88、右の2つが、El-34という品名で、それぞれメーカーが違い、形や大きさが違います。これらは同じ真空管ソケットに挿して使えます。金属製の足が7本、おなじ寸法で配置されています。
それで、真空管を差し替えて使うことができるんです。音の違いを聴き比べて楽しめます。
ところが、手持ちの真空管の中で、一種類が、動作不安定で、アンプの電源を入れると、がりがりと雑音がします。真空管にちょっと触ると、がりがりがすごくなる。これは、真空管とソケットの接触不良です。真空管の足とソケットとの接触が悪い。
足の直径を測ってみました。

2.4ミリメートルと、2.5ミリメートル。0.1ミリの差があります。実際にはもっと微妙な差ですけど。どう対策しようか、迷いました。
足にはんだを付けて、足を太くする? これは、真空管を痛めてしまう可能性が大です。却下。
ソケットを何とかする。虫眼鏡で内部を観察すると、U字型の金具で受けているようです。

「それなら、U字部分の間隔を狭くすればいい!」で、超極細のドライバーを差し込んで間隔を狭めるように、ちょっと力を入れます。

やり過ぎると、狭くなりすぎて、今度は真空管の足が入らなくなります。
それでも少しずつ調節した結果、うまくいきました。

具合の悪かった真空管はしっかりとはまって、ガリガリのノイズも出なくなりました。
これで問題は解決。ですが、これまで問題の無かった真空管が入りにくくなります。
そこを慎重に押し込む。またU字型の間隔が広がってしまいます^^:所詮、対処療法でした。
まあ、こういう具合に私のオーディオライフは続いていきます。
次の記事
真空管アンプでシステムを組んでいろいろと楽しめます。とはいえそれまで使っていたトランジスタアンプも捨てがたい。気が向いたときに聴き比べをしてみました。
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自分ができる範囲で自分好みの音を探します。次に紹介するのは、手持ちのスピーカーの聴き比べです。
TRK3488真空管アンプは良い音で楽しめてますが、あるときに壊れてしまいました。なんとか自分で直せる程度の故障で良かった。





