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はじめに
レコードの再生にはパチッというノイズがつきものです。波形処理ソフトaudacityを使ってノイズを1つ1つ消していけばノイズを減らすことができます。今回はレコードの細かなホコリや傷で起きるノイズを一つ一つ減らす方法を説明します。
前回の記事では、レコード針の上げ下げで起きるノイズの除去について解説しましたので、そちらも参考にしてください。
ノイズの個別処理
ノイズの多い音源をサンプルにしました。以下の波形で白抜きの部分が今回ノイズ処理する対象です。唐突に上下に突き出している棒状の部分がノイズです。ノイズを順番に処理していきます。
音源の出典はラフマニノフ作曲のピアノ協奏曲第3番の冒頭部分です。演奏はウラディミール・アシュケナージ(ピアノ)、アナトール・フィストゥラーリ(指揮)、ロンドン交響楽団です。1960年代のDECCAレーベルのレコードから録音しました。長さは8秒程度に短くしてあります。
下の再生ボタンを押せばこの部分が再生できます。パチパチとノイズが耳障りです。
明らかにノイズと分かる部分をオレンジの丸で囲み、1から7の番号を振りました。
個別にノイズを消していく
ノイズを順番に消していきます。最初に1番目のノイズの中心にマウスのカーソルを合わせて、プラスの虫眼鏡のボタンで時間軸を拡大しながらノイズ波形を表示させます。マウスをドラッグして波形処理する範囲を決めます(画像中の白抜き部分)
エフェクト(C)を選択し、修復(E)を実行します。下の画像が修復後の波形です。
ノイズ2からノイズ7まで消す
ノイズ2から7についても同様の処理を行います。ノイズ波形には色々あります。その実例のいくつかになると思いますので、それぞれの波形を掲載しておきます。
ノイズ処理後の波形
1から7までのノイズを処理したあとの全体波形です。
ノイズ1から7を取り除けば作業は終了です。ノイズを取り除いたあとの波形の音声が聴けます。おおきなノイズは消えました。
まだ細かいノイズ音が聴こえてきます。時々聴こえるプチノイズ、まあこれぐらいなら、レコードの再生なんだなと納得できる許容範囲かとは思います。
さらに細かいノイズを取り除く
もっとノイズを減らしたい。そうなると面倒です。
ノイズが聴こえるあたりでの周辺でノイズらしきものをしつこく探します。見つけたノイズから2つ紹介しておきます。下の画像で赤丸で囲んだ部分の”ゲイン”をさらに大きくして、ノイズを聴こえやすくしてノイズを探します。再生速度も遅くします。
ノイズ探しはいろいろと手探りでした。どう作業すれば良いのか?正解は私には今のところわかりません。これからの課題です。
次のノイズ9もかなりみつけにくい。
何度かやり方を変えながら、最後は一番スロー再生にして、8秒間の音声波形を最初から最後までチェックしながらノイズ探しをしました。8秒の音源のチェックに何十分かかったかな?。ここまでやると根気のいる作業です。以下は、私ができるだけがんばってノイズを取り去ったあと仕上げた最新のサンプル音源です。
ノイズが入ったままの最初のサンプル音源を再掲します。
違いは明らかだと思います。
作業してみた感想
レコードの音楽をデジタルファイル化してネットワーク・サーバーに保存し気ままにアクセスできるようにして音楽を楽しみたい。その過程でレコード再生特有ノイズの対策に取り組みました。
今回知り得たノウハウは、1枚のレコードのノイズを少なくしたデジタルファイルを作るのに役立ちます。一度wav形式などの非可逆ファイルにしてしまえば、デジタルファイルに残っていたノイズに気づく度に、そのデジタルファイルをaudaityで開いてノイズ修復をして更新保存する。その度にファイルのノイズレスの度合いが上がっていきます。そういったマニアックな楽しみ方ができそうです。これもオーディオの楽しみ方の一つかな。