M8(エムエイト)(高嶋哲夫)



M8 (集英社文庫)

[感想]

TUNAMIを読んでからその前作のM8を読みたいと思ってたら、ブックオフに出てました。3回目のときで「念ずれば通ずる」
単行本はかさばるのであまり買わないのだが即購入。

お話は割と淡々とした感じで進む。
東京直下型大地震の予知、予兆、その時、一日目、二日目、希望と続く。
映画のような凄まじい場面の描写はあまりない。
一人ひとりの地震への対応を描くことで、大地震の恐ろしさはひしひしと伝わってくる。
主人公瀬戸口の地震シミュレーションとその結果を東京都知事が受け入れたことで、被害はかなり抑えられた。
この作品は、1995年の阪神淡路大震災を経験した作者により2005年に刊行され、地震とはどういうものか、対処しきれるか、いかに事前に対策をしておくことが重要かを訴えている。

現実はどうなったか?
その後、2011年の東日本大震災を経験してその復興は未だに途中。
東海地震は科学的に予知は困難と公表され、事前の対策と起こったときの対応に重点が置かれることになりそうだ。
作中で、「国も大きな災害が起こる前に、防災にお金を注ぎ込んだほうが、結果的には安上がりだってことにやっと気づいたのね」という言葉が出てくるが、国家予算の1%をつぎ込めばという提案もしている。
北朝鮮対応でミサイル防御云々の話もあるようだが、何十億とか何百億円とかかかるのかな?
災害は必ずやってくる、その対策をコツコツと進めていくのがとても大切だと思う。

ネットで見つけた作者の言葉の一部を引用しておく。

これは避けることのできない出来事で人生を失った者たちの「再生」の物語です。
作家として、神戸に住む者として、科学を志した者として、書いておかなければならない小説、それがこれです。
この本を読んで、少しでも地震を理解し、そのために生き残ることが出来たという人が現われれば幸いです。

昨夜、著者の災害3部作の3冊目、『ジェミニの方舟-東京大洪水』をネットで注文した。
今ネットで確認すると、文庫本が『東京大洪水』に改題されて出ているようだ。これだったらブックオフにおいてあったな、ちょっと失敗、ま、いいか。(2017.11.05)
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