[感想]
作品は、東海大地震などが発生したときをシミュレーションした小説。
2005年に刊行されたというのに、2011年の東日本大震災の惨状を目の当たりにするようなリアルな描写がとても衝撃的。
いや、それよりも数倍激しい状況が描かれてる。何しろ東海、東南海、南海の3つの大地震が同時に起こってしまう。高いところでは20メートルの津波が、静岡から四国にかけて襲ってくる。
地震の警戒情報が出されているときの、住民や役所の反応の鈍さ。読んでいてやきもきさせられる。そして実際に地震が起こり、津波が襲ってきた時のパニックの状況。リアルすぎる。
作品では原子力発電所がメルトダウン直前で回避されるが、その様子がとてもリアル。
なぜこんなにリアルな描写ができるのか?日本原子力研究所所員という作者の経歴を見て納得させられる。
「事実は小説よりも奇なり」というが、東日本大震災の惨状が記憶に残っているうえに、この小説でさらに大変な惨状を見せつけられた。
今さらながら、現状で防災とが減災ということについて対処や心構えができているか?とても不安。
こういう防災サスペンスで、もっと我々を啓蒙してほしいと強く願う作品である。(2017.09.24)
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