感想
アフガニスタンが主な舞台になっています。アフガニスタンでの紛争が、石油をめぐる大国間の覇権争いが原因であることがよくわかってきます。荒廃していく国を救うには武力では解決できないことを身を以て示すということが大きなテーマでしょうか。それに主人公の柴田が大きく関わってストーリーが進行していきます。
作品を読んでみて心に残るのが、人間のどうしようもないエゴの強さです。自分だけが良ければいい。自分たちだけが良ければいい。それが人間の本質と思わざるをえません。人間ってどうしようもない生き物なのではないだろうか?
また、報道などで知らされていることがいかに表面的なものかも思い知らされます。
作者の高嶋さんは、最終的には希望を持たせる形で作品を締めくくっていますが、個人の想いの力の弱さについて、私は虚しさを感じてしまいました(2020/04/19)
最後に裏表紙の作品紹介文を引用しておきます。
かつて報道カメラマンとして鳴らした柴田雄司も今はファション専門。だが学生時代の恋人と二人の子供を乗せた飛行機がアフガンに不時着し、以前親交を深めたゲリラ部隊に拘束される。彼女の長女が自分の娘だという事実を知った時、柴田は喪われた愛を取り戻すためにアフガン行きを決意した。愛と感動のクライマックス!