異端の大義(楡周平)



異端の大義(上)

異端の大義〈下〉 (新潮文庫)

[感想]

文庫本の上下巻を合わせて本文だけで1020ページ。終わりが近づくにつれて、もう夢中になって読みました。

上巻では、主人公が大企業の工場閉鎖に伴うリストラ業務を遂行します。「早期退職制度」、私も2度経験したことがありますが、その裏側が描写されていて、身につまされたというか、妙に共感を覚えながら読み進めました。

下巻では、リストラ業務を遂行したにもかかわらず退社に追い込まれた主人公。それを偶然の形で、カイザーに拾われて新しい人生を歩み出すわけですが、ここから、それまでの重苦しい雰囲気が一転して、スーパーヒーローの頑張り物語が進んでいきます。

「会社は人なり」有能で、やる気のある人材を会社に残す。それこそ、会社が発展していくために大切なこと。このテーマ―が全編に貫かれているように思いました。

同族企業の大企業が、経営戦略の失敗と人材育成の失敗で、経営が行き詰まり、企業の存続すらがおぼつかなくある。

ちょうど今起こっている現実を、そのまま描写したような小説で、著者の楡修平さんの筆力に感服します。(2013.06.12記)
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