帰れない酔っぱらいたちへ(きたやまおさむ)

あじさい

サブタイトル:生きるための深層心理学

『感想』

本書を読んでおくと、人と暮らすことで感じる息苦しさや挫折感を極端に感じずに平穏な気持ちで過ごすことができそうな気がします。
一番心に残ったのが、人は嫉妬する生き物だということです。
嫉妬することでそれを自分の成長に持っていくべきだ。
嫉妬されることを恐れてはいけない、むしろ嫉妬になれることが大切だ。
そういうようなことを本書では言っているように思えます。
二番目に心に残ったこと。
それは二者関係とか、三角関係という話です。
はじめは何のことかよくわかりませんが、人が生まれ育つことから説明が始まります。
人は生まれる前から母に愛されますが、その愛が無限に続くという幻想から上手に抜け出さないといけません。
人は母親と父親を持ちます。人と母親という二者関係から、父親が加わって三角関係を体験していきます。父親に母の愛を奪われることを実感し、父親から社会的な刺激を受けて人は成長していきます。その過程が上手に過ごせることで人は人らしく成長できます。
こういった感じで、本書は誰もが経験するわかりやすい事例で説明が続きます。なるほどと思わせられることが満載でした。
フォーク・クルセダーズの一員だった北山修さんが”きたやまおさむ”というペンネームで、自分の実体験をもとに、そのときの自分の心の内をあからさまにさらけ出してくれました。その挫折から乗り越えた様子を事細かく著してくれました。人には他人にはわからない苦しみがあるものなんですね。
本書を読んでおくと、人の気持ちや自分の気持ちがよくわからなくなったときに、あの人はこう考えているのかなとか、自分はこういう気持ちなのかもしれないなとか推測ができるようになります。それに納得できて、人生に妙に絶望しなくて過ごせる気がします。
正論を臆せずに発言しようという勇気が湧いてきます。
良書です。ちょっと分かりづらいところもありますが、全編を読み通してみることをおすすめします。電子ブックになってます(2021/07/03)
以下、本の表紙の紹介文を引用します。

日本人の心に潜む厄介なものの招待
<日本人>の心をここまで語りきった本はあったか!
天国の夢から抜け出せない漂流者たちの期間の道筋を探る
作詞家・精神分析学者きたやまおさむの渾身のライフワーク

なぜ私は、嫉妬する/嫉妬されることを恐れるのか?
なぜ私は、「出る杭」を打ち、足を引っ張り合うのか?
なぜ私は、家に閉じこもり、外に出ようとしないのか?
なぜ私は、粋に生きようとし潔く自死を選んでしまうのか?

「帰ってきたヨッパライ」の思わぬ大ヒット、ロンドンへの退避、そして友人たちの死……著者自身の個人史にも立ち返りながら、私たちの心をいまだ強く支配しているものの招待を知り、この世界で真に自立して生きるための考え方を示す、きたやま深層心理学の集大成にして最適の入門書。

外に向かって勝負せず、内向きの足の引っ張り合いに終止する現代日本。その根本に潜むもの……精神的にいまだ「母-子」の二者関係が支配する「天国」にとどまり、父親的なライバルが出現する「母ー子-父」の三角関係をこなしきれない心のあり方を問いかける、私たちが真に自立して生きる道筋はどこにあるのか、きたやま深層心理学の集大成にして最適の入門書。

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