アクアマリンの神殿(海堂尊)

せせらぎの花

感想

眼のガンに罹った主人公の佐々木アツシが治療法が利用できるようになるまで5年間の人工凍眠から覚めたあと、ガンの治療は成功し中等部に中途編入して生活を再開してからのお話です。
SF小説で出てくる人工凍眠のテーマを海堂尊が扱うとこうなるよ、ですね。いろいろな問題を具体的に提起して読者に一生に考えさせるように仕向けてくれます。5年間眠ったままだったあとの本人の社会復帰をどうするか?睡眠学習という対策を取りますが完全な解決にはなりません。確かにブランクがながければ長いほど社会復帰の問題が大きくなりそうです。現代版浦島太郎ですね。
アツシは学業とは別に本業として、深夜に行う大切な業務があります。桜宮市にある未来医学探求センターび地下で眠る美しい女性の様子を見守ることです。この女性のアツシとの関係とか、目覚めたときにアツシがどのように対処するかが物語の後半の重大なテーマになります。さっと読み流しているだけでしたので問題の本質が今ひとつ私には伝わらなかったように思います。それでも最後は周りの人たちの熱いサポートを受けてアツシは最良の決断をしたようで、めでたしめでたしなようです。(2020/07/04)
単行本の帯に書かれた紹介文を以下に引用しておきます。

ぼくは、この世界が永遠に続くものだと思っていた。でも現実はそうではなかった……。
桜宮市にある未来医学探求センター。そこでたった一人で暮らしている佐々木アツシは、ある深刻な理由のため世界初の「コールドスリープ」技術により人工的な眠りにつき、五年の時を越えて目覚めた少年だ。(凍眠)中の睡眠学習により高度な学力を身につけていたが、中途編入した桜宮学園中等部では平凡な少年に見えるよう”擬態”する日々を送っていた。彼には、深夜に行う大切な業務がある。それは、センターで眠る美しい女性を見守ること。学園生活に馴染んでゆく一方で、少年は、ある重大な決断を迫られ苦悩することとなる。アツシが彼女のためにした「選択」とは?先端医療の歪みに挑む少年の成長を瑞々しく描いた、海堂尊の新境地長編!

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