[感想]
人間を人工的に冬眠させる「凍眠」、覚醒させる様子が描かれているが、水溶液に長く浸されていた人間をから水溶液を吐き出させ、意識を回復させる。リアルで将来はありそうな感じを受けた。
眠っている間も身体は少しずつ成長するが、精神は留まったまま。そのかわりに睡眠学習で知識を補うという、よくできたはなしだ。
官僚が作った法律のせいで、このシステムは1回限りになるとか、被験者のアツシの人権が守られないとかいうところの理屈が今ひとつ理解できなかった。アツシを守るために涼子が2番めの凍眠被験者になるという最後の展開は、理屈はよくわからないが心には響くものがあった。
作者の社会のひずみを訴えるという試みは、今回のテーマではかなりSFぽくって、現いつ離れしている感じもするが、ありそうな事かもしれないとの感想を持った。
(2018.05.21)
:本の表紙の画像をクリックすると商品ページへ移ります