狼花(大沢在昌)

赤い花

感想

本作品の読みどころは、外国人犯罪を撲滅するために警察と暴力団が手を組むことを目指すエリート警官・香田の考えと、孤高の刑事・鮫島の考え方が真っ向から対立するところです。警察は暴力団をコントロールできるという香田と、歯止めが効かなくなるという鮫島の考え方の方法論の相違で、理想と現実の相違と言ってもよいと思います。世の中のいろいろなところで同じような問題が怒っているのではないでしょうか。外国人に頼らなくては日本の社会がますます回らなくなってきているのが現実です。実際の裏社会がどうなっているのか、最近の状況をもっと知りたいと思いました。
作品名の”狼花”について、作品中で明蘭は重要人物でありながら結局男に振り回されています。でも自分が自分でありたいという意志を最後まで貫きます。こちらも孤高の人っぽいですね。作者の意図は”狼”として賛美したかったのかな?結末はちょっと切なくなります(2020/04/23)
紹介文を引用します。

地獄を覗かされ、日本を捨てた国際犯罪者・仙田。外国人犯罪を撲滅するため、限界を超えようとするエリート警官・香田。どん底からすべてを手に入れようとする不法滞在の中国人女性・明蘭。自ら退路を断ち突き進む男女の思惑と野望が一気に発火点に到達した時、孤高の刑事・鮫島が選ばざるを得ない「究極の決断」とは?理想と現実、信念と絶望、個人と社会、正義の意味、そしてこの国のありようが、骨太かつスピーディな物語に溶解していく。

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