首都崩壊(高嶋哲夫)


感想

末尾の解説で郷原宏氏が”本書「首都崩壊」は東京大変シリーズの完結編にして集大成である”と言ってますが、私もほんとうにそう思います。
東京を襲う大震災に対して画期的な対策シナリオを用意して読者に見せてくれます。
遷都と道州制の導入です。「小さな政府」と「地方自治の強化」の同時進行というシナリオです。
読んでいて遷都の意義とか道州制の意義をよく学ばせてもらいました。
今まで無関心でしたが、大阪都構想に関心をもつようになりました。
高島さんの素晴らしいところは、計画を立てて実行し完成させるまでのあらゆる問題を想定し対策を立てた緻密なシュミレーションがなされていることです。そしてその内容を作中にうまく散りばめてストーリーを成り立たせて読者を納得させてくれます。
例えば、

  • 東京の全てではなく政治機能だけを移転して移転の規模を小さくする
  • 新首都と他の都市との共存関係が生成される
  • 新首都の構想として目に見えるモデルづくりと詳細な開発設計を進めておく
  • 首都移転の必然性として、大地震による日本の機能の喪失を危惧する外圧を利用する
  • 準備万端整えておいて、反発を抑えながら反対を賛成の世論に返させるだけの十分な説明が国民になされる

思いついただけでもこれだけの項目をあげることができました。
本書は日本国民すべてが読むべき、特に政治家はバイブルにするべきだと思います。
高島さんには、本書で開陳した内容を見やすくわかりやすい内容にまとめて発表していただけないものでしょうか。それを使って例えばNHKの日曜討論の材料にしてもらえればと思います。

未読の本

先日ブックオフで何冊か高島さんの本が並んでいたので迷わず買いました。
本書を最初に読みましたが、まだ「首都感染」「トルーマンレター」「震災キャラバン」「いじめへの反旗」「ファイアー・フライ」「追跡」と6冊も残っています。読むのが楽しみです。他の著者の作品のストックもあるので、交互に読んでゆっくり楽しもうと思います。
(2019.05.31)
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