サブタイトル:技術革新から社会革新へ
『感想』
坂村健さんの書いたIoT解説書ということで興味を持って手にしました。タイトルの「IoTとは何か」がわかるという期待を裏切りませんでした。
モノをインターネットに繋げるという一見単純なことが、社会全体を書き込んだ哲学的な議論とその解決を見なければ、本当のIoTの実現と発展には繋がりません。
最近話題のなっている自動車の自動運転で事故が起きたときに誰が責任を取るのか頭囲議論が、哲学的な議論の一つの良い例です。
単にモノの状態などをネットを通して第三者に見せるということだけであれば、直接人の生死には至りません。今のインターネットで実化し盛り上がっているのがその良い実例です。
しかし、モノを制御するという機能が付け加わることで、新しい問題が発生するわけです。この問題が究極的に解決困難というわけです。
以上の事がいろいろな例を挙げて解説してあった、問題の本質がよくわかります。
技術的には実現可能だけれども、それを利用するルール(出口戦略)ができないのが日本の特徴だと坂村氏は指摘します。
日本は絶対安全主義なので、IoTの実現が最もむずかしいだろうと坂村氏は危惧します。わたしもそのとおりだと思いました。今の原子炉再稼働問題を見ればよくわかります。
それではIoTは単に絵に描いた餅で終わるのか?
坂村氏は絶望はしていません。わたしも絶望はしません。
問題点を共有しそれを皆で解決していく意識を共有できれば、きっと道は開けてくるはずです。
やっぱり、ucodeタグをとにかくたくさん色々なモノに埋め込んで、全体としての状況の把握が今よりも格段に便利になることを実証していくのが一番の近道ではないのかな?
市中の各所にucodeタグを埋め込んで、その情報を利用者に提供するアプリ開発を促進するなどして啓蒙を図っていくのが良さそうだと思いました。(2021/10/04)
以下、本の表紙の説明文を引用します。
「IoT=モノのインターネット」とは何か。何のための技術であり、私たちの社会や生活は、一体どう変わるのか。技術研究開発や社会制度設計、ビジネスや実用の最前線から、豊富な実例をあげつつ、その現状・課題・未来像と、二本への指針を示す!
今までの日本のICT(情報通信技術)戦略は、技術で始まり技術で終わることが多く、出口戦略がなく、結果として使われないものになっている。IoTがそのてつをふまないようにすること……そのためにも哲学が重要なのである。
IoTのコンセプトを世界で初めて提唱した著者が、すべてを教える。
何のための技術なのか。社会や生活はどう変わるのか。
現状・課題・未来像とともに、日本への指針を示す!
インダストリー4.0
インダストリアル・インターネット
クラウド化
ビッグデータ
IoE(Internet of Everything)
オープンアーキテクチャ
オープンソース
オープンデータ
ナチュラル・ユーザインタフェース
スマートグリッド
アグリゲート・コンピューティング etc.
本当のIoT社会を実現するために、
今、日本の本質的問題が問われている。