風の耳たぶ(灰谷健次郎)


感想

画家で夫の籐三と妻のハルちゃんとの行き先を決めない5日間の旅のお話です。がんの告知を受けて余命のない妻をいたわりながらもハルちゃんに支えられて行きます。
旧友と飲み交わしその孫と語らう言葉の中に教育にとどまらず人の生き方についての作者灰谷健次郎の信念が語られます。灰谷さんの著書を読むたびに思うのですが、なぜこの人の言うような世の中に向かわないのかまどろっこしくなります。読者は多いはずなんですけど、相変わらず今でも問題は多いようです。それとも灰谷さんの影響を受けた人たちの努力で世の中は少しずつ変わってきているのかな?
本書は解説の部分に樹木希林さんとの対談が組まれています。樹木さんが58歳のときに考えていたことの一端が知ることができてちょっと得した気分です。作品のテーマの死を迎える心構えについて語られた部分で、私にとっての死の覚悟をどうしておけばよいのか?わたしの宿題にしたいと思いました。(2020/06/06)
裏表紙の作品紹介文を引用しておきます。

早春の海岸にてバス停に降り立った老夫婦。画家である夫・籐三は妻のことをハルちゃんと少女のように呼ぶ。二人は行き先を決めず気ままな旅に出たのだった。旧友と飲み交わし、その孫と語らう心躍る時間。だが二人の胸には秘められたある想いがあった……。男と女はいかに寄り添い、そして以下に死を迎えるのか?さまざまな命の繋がりを見つめ直す旅。こんな余生をおくりたいと思わせる、穏やかに満ちてくる日々をやすらかに描いた灰谷文学の結晶。現代人を癒やす至福の贈り物。巻末対談:樹木希林x灰谷健次郎

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