晩夏のプレイボール(あさのあつこ)



[内容紹介]
野球を続けがたい現状に抗い、「夏の甲子園」を目指して野球に打ち込む者たち―。高3の夏、肩を壊した元エース・真郷と、過去にトラウマをもつ現エース・律は、心ひとつにして甲子園を目指していた…(「練習球」)。戦力不足に悩む彰浩と信吾の前に現れた転校生の有一は、無口で不器用だが、誰よりも才能豊かなピッチャーだった…(「このグラウンドで」)。他、「夏の甲子園」をめぐるドラマを描いた、10の傑作短編。

感想

10の短編集。最初が「練習球」で最後が「練習球II」で終わり、その中に8つの短編で構成されている。
どの短編も少年化少女が主人公で、野球が心から好きだけど、何がしかのわだかまりと言うかトラブルを抱えている。
タイトルの晩夏のイメージそのままに、暑苦しくたまに秋風が吹き抜けていくという感じ。
その主人公が野球を通して救われる話、といってしまっては元も子もないか。
作者のあさのさんは、触れば壊れてしまいそうな主人公のこころを、やさしいまなざしで繊細に描写していく。
読んでいる途中でちょっと心が重くなリながらも、何か救いのある終わり方をしてくれた。
特に「練習球」が中途半端に終ってしまった感じだったのが、終わりの「練習球II」でスッキリさせてくれたのが良かった。
作品の内容とは関係ないが、あさのさんの作品は漢字にルビが振ってあって助かる。
「この漢字や言葉はこういう読み方をするのかと」今更ながら気づかせてもらえることがよくあります。(2019.01.12)*裏表紙の紹介文を掲載しています*
:本の表紙の画像をクリックすると商品ページへ移ります

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