ブレーキ(山田悠介)



ブレーキ (角川ホラー文庫)

[感想]

まさしくノンストップ・サバイバル・ノヴェルと呼ぶにふさわしい5編です。
「ビンゴ」は死刑囚候補者25人の中から死刑執行になる5人をビンゴで決めるという奇想天外な話。
「サッカー」は作家の対戦相手の首を切り取るというルール。生き残った人数の多いチームが勝利。切り取った首をドリブルで相手のゴールにけり込めば賞金がでるという何ともおぞましい話。ここまで読んできて、何か気味が悪くなりましたね。
「ババ抜き」は食い扶持減らしのために餓死させた祖母を、誰が山に埋めにいくかを家族4人でババ抜きで決めるという話。終盤まで普通の展開に思えたのが、最後でとんでもない展開に。あまり気持ちよくないですね。
「ゴルフ」は3チームによるオールスターゴルフ大会で、「16、17、18番コースに爆弾を仕掛けた。すべてバーディーで回らなければ爆発させる」という脅迫状が舞い込み、指定されたチームの3人が必死でバーディーを取りに行くという話。この話では結局死人が出なくて、胸をなでおろすというか、作者が必ず死人を出す趣味でなかったことに一安心。結末はちょっとあっけない。
最後の「ブレーキ」これは文字通り、ノンストップで走り抜け抜けるために、死に物狂いで車を操らざるを得なくなった若者の話。確かに表題にされるのにふさわしい。最後の結末も若者の純愛で締めくくるところは余韻が残りました。
途中まではこの作者の本は読むのをもう止そうと思ってましたが、あと2冊ストックがあるので次のを読みます。(2016.10.16)
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