特別法第001条DUST(ダスト)(山田悠介)



特別法第001条DUST(ダスト) (幻冬舎文庫)

[感想]

500ページの長編でしたが中盤からは一気読みでした。
島でのサバイバルは悲惨というか、ゲームでの殺し合いの画面を見ているようで、よくこんなのを文章で書けるなという印象。ストーリーも結構飛躍している感じですが、あまり細かいところを気にしないで読み進めました。文章はとても読みやすいので。
巻尾の解説文を読んである程度納得。苫米地英人さんという方が書いてます。「ストーリーを未来側から作っていく作者だと思った」という言葉が最初に出てきます。私には何のことかちんぷんかんぷん?でもおそらくですが、結末があって、その登場人物があって、主人公やそれを支える周囲の人物があって…というところから、その結末に至るまでの筋立てをさかのぼって構想していくということかな?などと自分で納得。そう思えば、いろいろなストーリの展開(飛躍)に納得。
主人公の章弘と親友になる本木、愛した亜由、我が子の章由とその彼女の亜紀、そして敵対する石本や小野田、登場人物の性格が正は正、悪は悪と単純明快に描かれていて、わかりやすくアニメを見ている感じ。島から復帰して日本中の乳児院や養護施設を我が子を求めてさがしまわる章弘は、いろいろな場面で考えも行動も単純すぎて、読んでてイライラしてくるくらい。それでも生き延びるのだから本当に周囲で助けてくれた人々に感謝ですね。
時代の設定が2012年からで現時点(2016年)でもう過去日になっていたり、ニートを根絶やしにして日本の失業率を減らそうなどという問題意識は、まさしく現代のテーマ。それに逆行するように少子化対策のために章弘から生まれたばかりの子供を取り上げて英才教育してしまう。優良な日本人だけにしてしまおうという、昔のナチの考え方?なんとも役人の考えることは恐ろしい。その代表?で登場する小野田の残虐非道さ、こんな人物に国をコントロールされたら…という危機感も持たされた、ありえない話でもないとも思わされた小説でした。
これで山田悠介作品のストックがはけました(2016.10.25)
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