論語に学ぶ人間学(境野勝悟)

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『感想』

本書は著者が、人間が生きていく上で心の拠り所とすべき論語の「和、礼、道、仁、楽」の5つについて、自身の経験や考えを交えてわかりやすくお話した内容が収められている。
「孔子の『論語』は、ぜんぶ自分の修行のためのものですが、朱子の『論語』は、君主や政治家のためのものになったという点に注意すべきで、孔子の教えは私たち個人の人格を向上させるためのものです。」とあり、本書では孔子本来の論語が学べます。
個々の内容は取り上げませんが、私の心に残ったことを書き下ろしてみます。
学んで、自分で考えて、それを実践してみることが重要である。そのとおりです。知らないで考えるのは独善だし、知っても多々の受け売りでは意味がない。知ったことの本質を自分なりに考えて、それを自分なりに経験してみる。それの積み重ねが大切だと思います。
人に認められるためにでなく、自分を磨くための努力をする、いいですね。これまでのわたしの人生と、これからどう生きるかで思い悩んでいた中でおぼろげながら感じていた心境に近い、合点がいったというのはかっこよすぎるかな。
本書の最後にまとめてある言葉、
孔子が、『心の欲するところに従えども、矩をこえず』自分のしたいことを、したいようにやっても、つねに、「人にやさしく思いやる心」を失わなかった、ということです。
この点を守れば、人と人とが和していける。そのとおりだと思いますが、これまでも、そして、今の世を見れば、なんとそれができていないことか。この点を守るのが人類にとってどれだけむずかしいことなのか。
人類の行く末を考えさせられてしまいます。
虚しくなるばかりですが、自分が生きていく上では心の拠り所になる、拠り所とすべき言葉だと思います。(2021/11/11)

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