七つの会議(池井戸潤)



七つの会議 (集英社文庫)

[感想]

帯に書かれている”「夢は捨てろ。会社のために、魂を売れ」「僕はどこで人生を間違えてしまったのだろうか」……筋書きのない会議(ドラマ)がいま、始まる。”この言葉が何を意味しているのか。

ユーザーに本当にいいものを提供するのが会社の使命であり社員が望むことのはず。それが、利益追求のためにコスト削減。それが大変な事態に。会社存続のためにその事実がねじ伏せられてしまう。隠すことだけが目的になってしまう。

当事者は最初は大したことにはならないと考えたんだろうな。
どこかで聞いたような、実際にありそうな話である。

規格を満たさない強度不足のネジ。これが列車や航空機の椅子に使われてしまった。それを秘密裏に修理してしまう。リコール隠しをトップ主導でやってしまう。ネタバラシです。

この頃のさまざまな世間の事件を見ていると、一体何を信じればいいのかがわからなくなりそう。どう生きていけばいいのか、どう生きられるのかがわからなくなる。

作品の最後に書かれている言葉を引用する。

この成り行きに、
「あなたらしいね。いつも損な役回りばかりで」
妻は笑っただけで、それ以上は言わなかった。
虚飾の繁栄か、真実の清貧か……。強度偽装に気付いたとき、八角が選んだのは後者だった。
後悔はしていない。
どんな道にも、将来を開く扉はきっとあるはずだ。

ここで、この作品の主人公が八角だったことに初めて気付かされる。
作品に余韻をもたせるのに、作者の池井戸はこれを書きたかったんだろうな。

八角のような人生を貫ける人がどれだけいるんだろうか?生きていくのは大変だ。
(2018.03.21)
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