君たちはどう生きるか(吉野源三郎)


感想

「貧困、いじめ、勇気、学問…。今も昔も変わらないテーマに、人間としてどう向き合うべきか。時代を超えた名著、新装版で再び。」がカバーに書かれています。そして冒頭に、池上彰さんの『君たちはどう生きるか』を読む前に「わたしたちはどう生きるか」の解説から始まります。

変わった構成です。事前に解説がいるくらいに時代を超えて読み続けられているということなんですね。

大人がよく読めば分かる内容。これを小さな子供が読んで本当に理解できるのかな?でもわかってほしいですね。
著者は、書かれている内容を子供のころにこそしっかりと感じ取って生きてほしいという願います。その願いを込めているのがよくわかります。大人へのメッセージでもあるように思います。
子供でも大人でも直面するいくつかの問題が取り上げられています。それにどう向き合うか。

人と人とのつながり、貧乏について

消費専門の生活をして威張っているひとと、生産活動をして貧乏なひとのどちらが立派か?このたとえ話はよく伝わってきます。

ここで叔父さんからコペルくんに自分で考えるようにと宿題がだされます。
「消費ばかりしていてなにひとつ生産していない。しかし自分では気がつかないうちに、ほかのものを、日々生み出しているのだ。それはなんだろう。」わたしにはわかりません。教えてほしい。

ナポレオン

「長い歴史の大きな流れのなかで、その流れを推し進めるために何を成し遂げたか」英雄の業績を偲ぶときの見かたが学べます。
民法がナポレオン法典の流れを組んでいるということにナポレオンの業績を身近に感じました。

いじめへの対処

友人たちが上級生から制裁(いじめ)を受けたら、みんなで立ち向かおうと約束しておきながら、いざというときに出ていく勇気を持てなかったコペルくん。それを悔やんで憔悴し切るコペルくん。その相談に乗った叔父さんのアドバイス。本当の勇気とは何かを考えさせられます。
人間とは弱いものだということを自覚して、そこから本当の勇気を奮い起こす。
確かに大事なことです。その経験がないといつまで立っても自立はできないのかもしれません。
人間はどう生きるべきかの一つの事例をわかりやすく考えさせてくれう名著だとわたしも思います。(2019.03.19)
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