青春夜明け前(重松清)



青春夜明け前 (講談社文庫)

[感想]

重松清って、ほんとうに子供の心を描くのが上手だ。今回は小学生や中学生や高校生の、性にあこがれるころの男たちの物語。
かなり露骨な描写が語られるが、それがその頃の子供たちの本音なんだろうと納得させられた。自分は℃のころが当てはまるのかなとか自省してみたり、こんなふうに友達と会話したことは自分にはなかったな、うらやましいなと思いながら各短編を読んだ。
「とんがらし」では、自分はずいぶん奥手だったんだな…。
「モズクとヒジキと屋上で」では、男の子同士、女の子同士の友情がそしてやさしさが迫ってくる物語。
「タツへのせんべつ」では、親友のタツが転校する前に、何を選別にすればよいか悩むヒロシ。本当にこんなんでよかったのかな(笑)?
「俺の空、くもり。」では、高校卒業までに童貞を捨てようと誓い合った4人の高校生グループのお話。主人公のヒロだけが、タイトルのような結果になるんだけど、最後のまとめ方がさすがに重松清流!
「横須賀ベルトをしってるかい?」では、短い期間で転校してきてまた転校していってしまう、舐められないように虚勢をはるダテ君との短い間の交流を描いている。男の意地というのがなんとなくおかしくちょっと悲しい。
「でぃくしょなりぃ」では、異性にあこがれながらも、素直に表せない子供たちのある意味滑稽で、いかにもありそうな様子が描かれている。だれもが通り過ぎた瞬間かな?
「春じゃったか」は、中学生の時に死んでしまった同級生のギュウちゃんの3回忌に出席するかどうかで悩む同級生の心象風景を描く。死というものをはっきりとは受け止められない気持ちが裏にあって、はっきりと決められない子供たち。こんなものかなと思う。
後半はちょっと読むのがしんどかったけど、何とか読み終えた。(2017.03.15)
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