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はじめに:
聴く場所に近づけてスピーカーを左右に1つずつ追加してスピーカーを4つにすると、音量を上げなくても、耳の近くで立体的な音楽が聴けるようになりました。左右のスピーカーを2つにして広げて設置すると、ステレオ感が増します。その理屈を実際の視聴環境に照らして自分なりに考えてみました。
解決したい問題
我が家にステレオアンプとスピーカーを設置して音楽を楽しむのが私の趣味です。音楽を良好に聴く環境としての問題を抱えています。
スピーカーを左右に充分に離して設置できないという問題です。1メートルあまりしか離せません。実際に音楽を聴く場所(リスニングポイント)は、2メートル近く離れているんです。ステレオアンプで小音量の音楽を聴くときに、スピーカーから離れた場所から聴くと、音楽が耳元で聴こえるステレオ感が失われてしまいます。
下の写真が実際の視聴関係を距離で表しています。
ステレオスピーカーのセッテイングは、リスニングポイントと正三角形の位置に設置するのが良いと言われています。スピーカーを1.14メートル離した場合、正三角形の頂点の距離で計算してみると、リスニングの適正距離は0.87メートルです。
我が家のリスニングポイントは1.7から1.8メートルぐらいです。適正距離より1メートルほど遠ざかっています。なので小音量のときは立体的な音が充分には聴こえません。実際にスピーカーに1メートルぐらいまで近づいて聴けばよく聴こえることから、最適な場所から離れて聴くとよくないことが確認できます。
実施した対策
FR1と離したところにFR2、FL1と離したところにFL2を設置しました。スピーカーケーブルはFR1とFR2がアンプのスピーカー出力端子のRに並列になるよう接続し、FL1とFL2はスピーカー出力端子のLに並列接続します。スピーカーの出力インピーダンスは8Ω、並列接続すると4Ωになりますが、アンプは4Ωのスピーカーが接続可能なので、使用上なんの問題もありません。ケーブル同士がショートしないように注意して作業を行えば大丈夫です。
実施した対策のようす
追加するスピーカーFR2とFL2を写真のように設置します。
それぞれのスピーカーはFOSTEXのほぼ同等の製品を使用しています。FR1とFL1はFE166NVで、FR2とFL2はFE166Enです。スピーカーの入れ物(エンクロージャー)は異なりますが、右側(FR1とFR2)にはアンプからステレオの右側の信号が流れ、左側(FL1とFL2)にはアンプからステレオの左側の信号が流れます。
ここで一つの仮定をしてみました。FR1とFR2で一体となって仮想FRスピーカーを構成する。FL1とFR2が一体となって仮想FLスピーカーを構成するというものです。その上で仮想のFRスピーカーとFLスピーカーの中心を想定してみます。
さらにこれらの仮想のセンター位置を底辺にした正三角形を想定し、その頂点を求めてみます。その場所が仮想FRスピーカーと仮想FLスピーカー最適な視聴場所(スイートスポット:Sweet Spot)となるのではないか?以上が仮定する内容です。
図にしてみると下の写真のイメージです。緑の線が正三角形を現します。
よく聴こえる場所(スイートスポット)が聴き手側(LP)に近づくイメージを図にしました。
FR2とFL2の設置場所はスピースの関係で決め打ちです。ある意味いい加減な場所選定でした。でも実際にその場所に設置して視聴すると、期待以上にリスニングポイントでステレオ感覚で立体的に聴こえるようになってしまいました。結果オーライです。
図面を起こして仮定を検証してみる
偶然なのか、なぜ?ということで、思いついた内容を写真に図示して説明してきましたが、あくまでもそうなんじゃないかなという仮定です。実際も、そのとおりなんだろうか?
そこで実際の環境(寸法)で仮定が当てはまるのかを検証してみることにしました。まず、部屋の寸法やスピーカーの設置場所の寸法などをメジャーで実測します。
測った寸法をもとにして図面を起こすことにします。図面の起こし方をちょっと考えてみました。パソコンのアプリ、LibreOfficeのDRAWを使うのは、手間がかかる割に精度があまり出せそうにありません。方眼紙で縮尺を合わせながら寸法を手書きで記入していくのがてっとり早いと感じました。
方眼紙をどうしようか?100円ショップの文房具コーナーで買ってくる?いえいえ、ネットで検索すると、あっという間にフリーの方眼紙テンプレートが見つかりました。それもA4サイズ用です。早速ダウンロードして、DRAWの新規画面に方眼紙テンプレートをコピー・アンド・ペーストして方眼紙の出来上がり。A4コピー紙にプリントアウトします。作業用の方眼紙が準備できました。
方眼紙のマス目を実際の寸法に置き換えて、部屋の寸法を四角の枠で書き込みます。最初にFR1とFL1の場所を記入して作業開始です。一辺が1.17mの正三角形を記入します。サイン・コサイン・タンジェント、懐かしい三角方程式を思い出して、正三角形の高さを求めれば作画できます。正三角形の頂点がスイートスポット(SP1)になります。ちなみによく視聴する場所LP1もLP(Listening Point)として図面に記入します。SP1とLPの距離が実際にかなり離れていることが図面で確認できました。
次に、2枚目の図面に同じくFR1とFL2を記入。そしてFR2とFL2の位置を記入します。ここからが仮定の作業開始。それぞれのスピーカーの仮想中心をFRcenterとFLcenterと記入。FRcenterとFLcenterを底辺にした正三角形を作画します。正三角形の頂点が新しいスイートスポット(SP2)と想定できます。SP2がLPよりも後ろへ移動してます。
3枚目の図面を作成します。1枚目と2枚目の図面を合成します。最初のスイートスポット(SP1)と想定スイートスポット(SP2)の位置の変化が一目瞭然になりました。そして想定スイートスポット(SP2)がリスニングポイント(LP)にかなり近づいたこともわかります。
図面にしてみて、体感上の感じと合っていると、強く感じられました。うれしかったです。これほど適当でいい加減な仮定はないのかもしれませんが、自分的にはかなり納得できる結果が得られました。午前中の作業で確認が終われたこともあり、嬉しくなりました。せっかくなので、これまで説明してきた内容をまとめて記事にすることにしました。説明は以上です。つぎは、これまでの対策を振り返って、記事の終わりにします。
これまでの対策
これまで、日常のリスニングポイントで小音量でもステレオ音が楽しめるようにするために、2つの対策をしてきました。
ひとつ目は、ステレオアンプの左右のスピーカーに一つずつスピーカーを並列接続してリスニングポイントのすぐ近くに置くこと。
2つ目は、サラウンドアンプを購入して、7.1chのサラウンドシステムを設置すること。
それぞれの対策をやってみて、その時点で得られた結果には満足してきてます。
ちょっとしたまとめ
振り返ってみて今回の対策は、2つ目の対策に1つ目の対策を組み合わせた応用編だと言えそうです。
サラウンドシステムは、周りの全てのスピーカーをステレオモードにすることも出来ますが、本質的には周りからの反射音などを補うためのものだという感じがします。フロントスピーカーからの音がしっかり聴こえてこそ、サラウンドシステムの良さが一層引き立つ気がします。その意味では、今回の試みは、サラウンドシステムでフロントスピーカーの補強の役割を果たしてくれてます。
今回の試みは、何もサラウンドシステムに限らず、通常のステレオシステムでも十分通用しそうです。スピーカーもアンプも安価なものでも充分でしょう。むしろそのほうが効果が感じられるかもです。ただし、試すのはあくまでも自己責任でお願いします。アンプとスピーカーの組み合わせによっては、うまく行かないこともあるかもしれません。壊れることはめったにないとは思いますが、当方は責任を負いかねます。
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