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TRK3488真空管アンプが壊れたので自分で修理

TRK3488が壊れた

愛用している真空管アンプTRK3488がこわれてしまったんです。もう寿命かとおもい廃棄を覚悟しましたが、さいわいなんとか自分で修理ができました。その経過をざっと記録しておきます。

故障発生

音楽を聞いている最中に突然パンだったかポンとか言う音がします。すぐにアンプのうしろのあたりから白い煙が立ち上りました。何が起きたのかがよくわかりません。
わけがわからないまま慌ててアンプやプレイヤーの電源スイッチをオフ。
部屋の中に物が焦げた異臭が漂います。

故障への対応

最初は電源タップか電源ケーブルの問題かと思いましたが、システムの後ろを見回しても何かが焦げたような異常は見当たりません。
ではアンプ本体の中身なのか?外見はなんともありませんが、アンプに鼻を近づけると焦げたような変な匂いがします。怖いのと臭いので、アンプの本体を大きなビニール袋に入れて密閉。
修理に出そうと思いました。どこで修理してくれるか?ネットで調べると1店だけそれらしいお店が見つかりましたが、キットで自作のアンプを修理してもらえるかとか、修理費用がいったいいくらになるか?とかが不安です。修理に持っていくにしても宅配便で送るにしてもとても重たい品物です。どうにも積極的に動こうという気になれません。そのまま放置状態が2ヶ月ぐらい続きました。

状況確認

こわれたアンプは廃棄の運命かとすっかりあきらめ気分です。
でもそのまま捨てるには惜しい。気持ちにゆとりができた時を見計らって、状況を正確に把握することを決心。
電源ケーブルだけつなぎ直してこわごわ電源を投入。しばらくすると白い煙がアンプから立ち上ります。そして異臭も。すぐにアンプの電源を切ります。
アンプの中をチェックします。電源ケーブルを外してアンプをひっくり返し、ケースの裏蓋を外して様子をチェック。

故障箇所を見つける

はじめはどこも異常なしにみえましたが、よくよく見ると小さな電解コンデンサーの上部が膨らんでいるのが見つかりました。見つけた!
保管してあった組み立て説明書と回路図を探し出します。組立図や回路をチェックし部品表を見ます。該当する電解コンデンサーはC8で規格が100μF,100V。右側のパワー管のカソードとアースをつなぐコンデンサーです。
電源トランスとかチョークコイルなどの故障だとお手上げだと思ってました。真空管の故障など他の問題もまだ予測されますがそれは先の話。コンデンサの交換でしたら自分でなんとかできる範囲です。先に進もう。

修理部品探し

ネットの通信販売をチェック。セット物とか100個単位はありますが、バラ売りで適当なものが見つかりません。
秋葉原へ向かいました。東京ラジオデパートです。今でもこういう部品を扱っているお店で思い浮かぶのがここ。
お店を2軒回って見つけました。C6同等品を2つ購入。せっかくなのでコンデンサーを全て交換しようと思い他の部品の分も購入。
手持ちが不安だったのを思い出し、駅前の店で半田とハンダ吸い取りを購入。

修理

帰宅して部品の交換作業を始めます。もちろん真空管はすべて抜いておきます。
メイン基板を外さないといけません。周りとの配線がたくさんあります。コネクターとソケットでつながっているのはコネクターを外します。
はんだ付けしてある配線をどうするか?たくさんつながってますが、音声ラインの配線つまりボリュームとの接続3本を外せば、トランス類との配線をつないだままでメイン基板をひっくり返すことができそうです。できました。
はんだ付けの配線を全部外さなければならなかったとしたら修理は諦めていたかもしれませんが、3本だけで済みました。修理対応も考えて?よく設計されています。
さあ、電解コンデンサーの交換。ところが開けてびっくり。電解コンデンサーの近くにある抵抗器が2つ茶色く変色しています。基盤をひっくり返すまでわかりませんでした。見えないところが焦げている。がっくり。
組立図や回路図を見ると、パワー真空管のカソード側に接続されている抱き合わせの3つの抵抗器R22,R24,R26のうちの2つです。回路テスターで抵抗値を調べます。

マルチテスター

抵抗値は示しますが、左側パワー管の正常なほうの抵抗値と違います。どれかがまたは全てがこわれたかは抵抗器を外してみないとわかりません。5W,1.2kΩ。もちろん手持ちはありません。修理作業を中断。
写真は正常な方(左側)の抵抗器と電解コンデンサーの様子。

正常な抵抗器と電解コンデンサー

ふたたび秋葉原へ

翌日、秋葉原野東京ラジオデパートへ。特殊かなと不安でしたが、別なお店で類似品がありました。外形が一回り大きいのですがワット数と抵抗値が同じなのでなんとかなりそうです。なんとかするしかありません。

修理再開

はんだごてを部品の基盤との接続箇所に当てながら、ハンダ吸い取りを使ってハンダを吸い取らねばなりません。これが結構難しいんですね。上手にやらないと、基盤の回路パターンが剥がれてしまいます。
45Wのハンダゴテを使い、電解コンデンサは簡単に外せましたが、抵抗器の方は厄介でした。はんだごての熱を部品や基盤が吸い取ってしまい、なかなかハンダが吸い取れません。無理やり抵抗器を抜き取ってしまったので回路パターンの一部が剥がれて切れてしまいました。
新しい電解コンデンサーは簡単にはんだ付けできました。
抵抗器は3つは横に並べられません。基板の裏と表の両面を使って交互に取り付けることにしました。このほうが放熱にもよいだろうと思います。基盤の穴のピッチに合うように抵抗器の足を整形して基板の穴に差し込み、抱合せの他の抵抗器の足とからげます。そうして切ってしまった回路パターンの代りにします。はんだ付けし直します。不格好で笑われそうな素人細工ですが取り付けが終わりました。

交換後の抵抗器1

同じところを別の角度から撮影。

交換後の抵抗器2

テスターで抵抗値を確認すると正常値の400Ωぐらいになりました。1.2kΩの抵抗器が3つパラレルですから全体の抵抗値は3分の1になります。
外した抵抗器を測ると断線でなくて抵抗値が変わっていました。数値は忘れたので再確認しようと思いましたが、こわれた抵抗器は捨ててしまってました。とにかく抵抗の値が変わるというこわれ方をするんですね。

下の写真は取り外した抵抗器と電解コンデンサー。

こわれた抵抗器と電解コンデンサー

電源再投入

外した配線をもとに戻して何度も確認。真空管を刺さない状態で通電します。電源トランスから真空管の各端子に電圧がかかっていることを確認。異常なし。
更に真空管を刺して、ふたたび電圧を確認。プレートには300Vとか200V位かかっています。しばらく経っても何もありません。一安心。

修理後のTRK3488

音源とスピーカーを仮配線して、再度通電。

修理後のTRK3488の内部のようす

左右ともに音が鳴りました。

その後

元の状態にセットし直して、スピーカーとレコードプレイヤーを接続。
前のような音に戻ったかどうかは自信がありませんが、とりあえず復旧ということです。
たぶん電解コンデンサーの劣化が故障の原因だろうとは思いますが、確信が持てません。まだなんとなく不安で、長時間の通電はしてません。

今後の対応

あとから気が付きましたが、各回路の電圧をきちんと確認してませんでした。正常な電圧であることが確認できれば自信を取り戻せるかもしれません。新たな不良箇所が見つかるかもしれません。機会を見て、もう一度アンプの裏蓋を外して、チェックしてみたいと思っています。
(2018.10.30)

アンプ内部の電圧をチェックしました

回路図には左側(L channel)の各真空管のプレート電圧とカソード電圧が記載されています。
V3とV4はEL34真空管、V1とV2は12AX7真空管で、ダッシュ番号は真空管のピン番号を表します。
V3B-6:229V,
V3B-8:1.8V,
V3A-1:220V,
V3A-3:1.6V,
V1A-3:345V,
V1A-4:348V,
V1A-8:22.7V,

これらを基準値として、10分ぐらい通電してから左右の真空管の電圧を測ります。
V3B-6:220.7V(-3.6%),V4A-1:218.6V(-4.5%),
V3B-8:1.86V(+3.3%),V4A-3:1.97V(+9.4%),
V3A-1:214.1V(-2.7%),V4B-6:212V(-3.6%),
V3A-3:1.60V(0%),V4B-8:1.68V(+5%),
V1A-3:339.0V(-1.7%),V2A-3:339.0V(-1.7%),
V1A-4:341.4V(-1.9%),V2A-4:341.5V(-1.9%),
V1A-8:23.0V(+1.3%),V2A-8:22.8V(+0.4%),

このような結果となりました。
9.4%のV4A-3(Rchannel初段管のカソード電圧)が数字上は大きく見えますが、絶対値では0.17Vの差なので目をつむります。他の端子電圧の基準値との差はもっと小さい。ということで、正常範囲と自己判定します。
1時間ほど通電してから配線をもとに戻しレコードを1時間ほどかけました。
全体に熱くはなりますが、真空管アンプなのであたりまえの範囲だと思うことにします。以前は熱さを気にしてなかったので比較できないんですね。匂いがするなどの問題は出てません。とりあえずOKかな。(2018.11.01)

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“TRK3488とPLS1410の両方をたのしむ”へのリンクです。

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