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FMラジオを聴きやすくするためにFMアンテナをチェック

FMアンテナを使ってラジオを聴くのタイトル画面

はじめに:

レシーバーでFMラジオ放送を聴きやすくするために、FMアンテナの種類と取り付け方に着目した取り組みの紹介です。ネットワークCDレシーバーで多くのCDやレコードを楽しみましたので、今回はさらにFMラジオを良好な音質で受信することにチャレンジします。FMアンテナの種類をフィーダー線から1素子FMアンテナに替え、自宅周辺のFM放送局の所在地を調べ、ベランダに取り付けるFMアンテナの向きを変えながら良好な受信方向を探しました。FMアンテナを2本に増やすことまで試してみます。

FM放送受信装置について

FMラジオ放送を聴くために使用したのはDENON RCD-N10 CDレシーバーです。次の写真がそのようすです。コンパクトなレシーバーで、リモコン操作でラジオ放送の選局ができます。

DENON RCD-N10 CDレシーバーの前面のようす

取り組みの概要

レシーバーに付属していたフィーダーアンテナでは強い電波のFMラジオ放送は1,2局が聴けますが、他の放送局はほとんどがノイズ混じりでしか聴けませんでした。もう少しよく聴きたいと思って取り組みを始めました。アンテナには、指向性といって電波のやってくる向きに合わせると良好に受信できる特性があります。最初はフィーダーアンテナ線を張り替えてアンテナの向きを変えることから始めて、アンテナを室外に出すことも試しました。その後はFMアンテナを買ってきて試したり、アンテナを2つに増やしてみました。

結果は、すこしだけ受信状態が良くなりました。結果はともかくとして、FMラジオ受信に必要な基本的な仕組みと必要な部品について多くの知識が得られたので、メモにしておきます。内容は主観的なもので数量的ではないことをお断りしておきます。

関東エリアでいくつFM放送が聴けるかとか、FMアンテナ関連部品に関心がある方は、本記事をぜひご覧ください。

受信環境

横浜市鶴見区でテレビやラジオの難聴地域に住んでいる私は、地上テレビはケーブルTVを利用してます。付属のFMアンテナを使って、FMラジオ放送をオーディオ対応のレシーバーでノイズの少ない音質で楽しもうとしても厳しい状況でした。良好に電波を受信したい。解決策を探りたいと思いました。

地理的条件

FM放送の電波は見通し距離で電波を受けるのが理想です。電波がどこから飛んでくるか?アンテナの向きを合わせるときに、放送局はどの方向にあるのかがポイントになります。放送局というよりも送信アンテナの場所ですね。送信アンテナからの電波をキャッチすればラジオがよく聴こえます。

調べてみました。その場所は次項で説明します。調べる過程でFMヨコハマが受信状況の改善のために送信所を移転したことも知りました。なるべく電波が届きやすくするために山の上に立つ電波塔の意味が理解できました。

送信アンテナの位置

神奈川県で受信可能なはずの送信アンテナの位置を調べて自宅への方向を矢印で示しました。3方向もあります!受信するにはFMアンテナが3つ必要なの!?

近くのFM送信アンテナの位置を記したマップ

北東方向は東京スカイツリー(ワイドFM)や東京タワー(東京FM)など。他の放送局も近くにあって微妙にずれてるかもですが同じ方向と考えて良いのかな?なぜか放送局ごとの聴こえ方のばらつきは大きいです。南方向は円海山(NHKFM横浜)、西南西方向は大山(FM横浜)。

家屋とその周辺の状況

住まいは集合住宅の2階、南側にベランダ。比較的高台にはありますが、周りは住宅に囲まれ、北向きには大きな建物が視界を遮っています。ダイレクトに電波を受信するには極めて厳しい環境です。建物に電波が反射したのを受信することで、状況が改善するかもしれません。

受信しやすくするためのアプローチ

以下は、アンテナを取り替えて試す具体的な取り組みについての内容です。一番基本的な受信方法から順番に試していきました。

付属室内アンテナ

これがCDプレイヤーに付属しているFM用受信アンテナです。

FMラジオ放送受信アンテナ(装置に付属)

F型コネクターに3メートルぐらいの電線がついているだけ。
こんなんでラジオが聴けるの?という第一印象でしたが、意外にも?FMヨコハマ、NHKFMが聴けました。残念ながら東京FMが全然聴けない。東京FMを聴きたい。この思いがそれからの長い取り組みのきっかけでした。

ダイポールアンテナ

FM室内アンテナといえば、フィーダー線を利用したダイポールアンテナが定番でした。今でも売ってますね。手持ちがありました。途中から二股になったケーブルの両端を広げて柱などに取り付けると、アルファベットの”T”の形になります。

室内で使う

広げる方向を変えてみたりしましたが、付属のアンテナの場合と受信状況は変わりませんでした。

屋外で使う

室内だから電波が弱いのではないか。屋外だとどうだろう?
これからが試行錯誤の始まりです。
フィーダー線を継足して長さを伸ばし、エアコンのダクトの穴を利用してアンテナの部分を外に出します。
T型になるように適当に広げて見ます。といってもスペースが限られています。ベランダ張り出しと壁の間を利用。下の写真はよれよれですが、実際はピンと張って試してました。

フィーダーアンテナ線を屋外で付けてみる

結果は前よりはちょっとましかな。でした。

ここまでは、割と入手しやすいアンテナ部品での実験でした。

専用アンテナ探し

それからもっと高機能のアンテナ探しが始まります。といっても住居(集合住宅)の関係で、本格的な多素子のFMアンテナを立てるつもりはありません。というか立てるスペースもありません。

秋葉原になにかいいものは置いてないかと思い探しに行きました。無線機器専門店で見つけたのが一素子FMアンテナです。そこでは購入せずに、自宅でネット検索。価格も安く、場所も取りません。試してみる価値はありそうです。

購入先を探すと、ヨドバシカメラで安価で販売しているのを発見。横浜店、川崎店それぞれに在庫僅少ながら在庫ありでした。さっそく買いに行きましたね。4C同軸ケーブル10メートルも同時購入。

日本アンテナ NIPPON ANTENNA AF-1-SP [FMアンテナ 近距離用]

上のリンクは楽天市場へのリンクです。

一素子FMアンテナ

一素子といえども広げると幅は1.8メートルぐらいあります。奥行きが25cmぐらいなのが救いです。ベランダで取り付けようとすると、物干し竿かけにしか付けられません。支柱に取り付けて、方向を調節します。

FM受信一素子アンテナを取り付けた様子

変えられる方向は南を軸にして東南東から西南西あたりまで。調節できる角度は180度以下。それ以上だと家の壁にぶつかります。受信するラジオの放送局を変えながら、一番感度の良い方向を探します。

CDレシーバーでFM放送を受信、モニター画面

これがなかなか難しい。感度の良い放送局と悪い放送局がアンテナの向き(角度)によって変わります。

FM放送受信のモニター画面(拡大)

プレーヤー全面表示のアンテナマークの縦棒の数とステレオ(ST)マークの有無を見て、あとは耳で音の良し悪しやノイズの強弱を確認することで判断します。

いろいろ変えてみてダイポールアンテナよりもかなり感度が良くなる角度が見つかりました。今まで聞けなかった放送局が増えました。

一素子FMアンテナ2つ

FMアンテナ一つではすべての放送局が良好に受信できるようにはなりませんでした。アンテナの向きでよく聞こえる放送局とそうでない放送局とが極端に変わります。地理的条件で示したように、3方向から電波がやってくるわけですから一つのアンテナでは無理かも。

別な方向を向けたアンテナをもう一つ立てると、よく聞こえる放送局が増えるかも?
そう思って、もう一つアンテナを追加してみました。

FM受信アンテナをもう一つ取り付けた様子

ここで問題発生です。
2つのアンテナをどうやってプレーヤーにつなぐか?FM信号入力端子は1つだけです。

CDレシーバーのラジオアンテナ取付部

FMアンテナ線切替器

アンテナ線の切り替えスイッチ付きアダプターというのがネットにありました。

このアンテナ切替器を買って試しました。

アンテナ線切替器

いちいち手動(切り替えスイッチ)でアンテナを切り替えるのが面倒ですが、混合器と比べて挿入損失が極めて少ないのが魅力です。いつか使うこともあるかもしれません。保管しておきます。

分波器

それではどうしたか?その結論を書きます。2つのアンテナの信号を足し合わせる装置を使います。

一般には分波器という名称で売られてますが、入出力を逆につなげば2つの信号を合わせることができます。手持ちのもので実際試してみましたが、両方のアンテナの信号を足し合わせることができました。

FM信号分配器SPF2B

もう一つの分配器です。

FM信号分配器HDP-72AG

2つ目のはTVのF端子に直結型でしたので中継用アダプタを追加して同軸ケーブルに繋いで使います。

同軸ケーブル中継用プラグ

どちらかというと2つ目の分波器のほうがよく聴ける感じ。どちらも信号レベルが下る、挿入損失が相当ありそうだと思いました。

こちらはアマゾンでの同型商品(参考)

FM混合器

FM信号混合器M-UUF

FM混合器は2つのFMアンテナからの線を一つにまとめるためのものでそのものズバリの製品です。探した限りでは唯一の製品です。日本アンテナ製。もしかして分波器より挿入損失が小さいかもと思い購入しました。

結果は分波器で試したのと変わりません。挿入損失は同程度か2つ目の分波器よりも多少多くなってしまいました。先に試した分波器は室内用なので屋外では使えません。せっかく買ったのと作りが屋外用でしっかりしているFM混合器を設置しました。

ブースター

分波器やFM混合器を入れると挿入損失のために信号が弱くなります。これは原理的にどうしようもないこと。2つの信号を合わせても2倍になるのではなく損失分だけ信号が弱くなるわけです。

その損失分を補うのがブースターの役割です。
FM信号の周波数をカバーする製品は2つほど見つけ購入しましたが、下の写真の製品が少しマシでした。アマゾンのホーリックアンテナブースターへのリンクです。

FM信号ブースター

こちらのも買ってみましたが、私の環境ではほとんど効果なし。

FM信号ブースター

アンプ前面のUSBコネクタにつなぐと電流不足からなのか、動作しませんでした。USBコネクタから電源を取るので、コンセントの電源からしっかりと給電しないといけません。コンセントの電源から給電してみましたが、それでも効果は感じられません、残念です。ほかにも高価なのはありますが、もったいないので買ってません。

実際に混合器を設置した様子です。

FM混合器にケーブルを接続

F型接栓を自分で加工して同軸ケーブルに取り付けます。
今回の同軸ケーブルは4C、網線とアルミ箔の間にコネクタを押し込むのですが何度やっても上達しません。

F型接栓のパッケージ
F型接栓の部品

こちらのようなプラグだと簡単なんですけど、使えません。

昔ながらの同軸プラグ

FM混合器には3つもコネクタを加工して繋がなくてはなりません。下の写真はゴムカバーを外した状態。

ケーブル端子処理部の様子

真ん中のコネクタは工作失敗ですが、苦労した結果です。これ以上どうしようもないのでそのまま使ってます。ここでもロスはどれくらいだろう?ちょっと心配。

ふたつのFMアンテナをつなぎ終えた結果

一素子FMアンテナ一つより少しましかほとんど同じ結果でした。

結果

色々と試した結果をまとめます。

付属室内アンテナ

限られた放送局が受信できる。
満足に聴けるのは近くのFM横浜ぐらい。

フィーダーケーブルのダイポールアンテナ

限られた放送局が受信できる。近くのFM横浜ぐらい。付属した室内アンテナと変わりなし。

一素子FMアンテナひとつ

受信できる放送局が格段に増える。ただし良好な放送局とノイジーな放送局が分かれる。
アンテナの向きでよく聴こえる放送局が変わる。

一素子FMアンテナ2つ

受信できる放送局が格段に増える。ただし良好な放送局とノイジー放送局が分かれる。
アンテナの向きでよく聴こえる放送局が若干増えたかも。逆によく聴こえていた放送局がノイズっぽくなったかな。

アンテナの数を増やしても、特定の放送局の音質が格段に良くなるということはありませんでした。

受信できている放送局リスト

frequency(MHz) broadcaster(location)
76.5 Inter FM(yokohama)
79.5 Nack5(saitama)
80.0 エフエム東京(tokyotower)
81.3 J-WAVE(tokyo)
81.9 NHK(yokohama)
82.5 NHK(tokyo)
84.7 横浜FM(yokohama)
86.6 エフエム東京(hinokihara)
88.1 IBS茨城放送(takasuzuyama)
89.7 Inter FM(tokyo)
90.5 TBS(skytree)
91.6 文化放送(skytree)
92.4 RFラジオ日本(skytree)
93.0 ニッポン放送(skytree)

アンテナの向きによって聴こえ方が変わります。
一時78.5MHz(78.4MHz?千葉県勝浦)のBayFMが極小で聴こえていたけど、今は無音。
リストから消しました。

BayFMって千葉からの放送だったんだ。ようやく認識。東北東から東南方向は目の前に3階たての建物が立ちふさがっており我が家からは完全に死角です。千葉からの放送は馴染みがなかったので、最初に上げた送信所の地図にもプロットしようという意識もありませんでした。

評価

付属室内アンテナ

オーディオの品質で番組を聴こうとすると不十分。ニュースなどはOK。

フィーダーケーブルのダイポールアンテナ

オーディオとして聴こうとすると不十分。ニュースなどはOK。

一素子FMアンテナ

オーディオとして聴こうとすると1,2局。

一素子FMアンテナ2つ

オーディオとして聴こうとすると1,2局。
アンテナを2つにしても一つの放送局の信号が強くなるわけではありません。
推測ですが我が家で受信している信号は反射波がほとんどなのではなかろうか。純粋な信号を受信できていないので、ノイズ分だけが増えてしまうのかもしれません。
いろいろアンテナの方角を変えたり取り付ける位置(高さ)を変えたりしてみましたが、調整できる範囲に限界があり、最適な方向を見つけることができません。

一素子FMアンテナの取り付け方を工夫する

二つの一素子FMアンテナの取り付け方については、さらに調べて工夫してみました。こちらの記事”2つのFMアンテナでラジオがよく聴こえます”をご覧になってください。かなり効果がありました。

感想

ラジオ局の多様さ

昔はアンテナを立てて電波を受けて聴くしかなかったラジオ放送ですが、今は実にいろいろな聴き方ができるようになり、ラジオ局の数も驚くほど増えたんですね。

インターネットラジオ

ネットワークCDプレーヤーを購入したことでインターネットラジオが聴けるようになり、国内のラジオ放送や、海外の放送も聴けます。ただし音質は良くない感じがしてます。

ラジコなど

東京FMやその他関東のラジオ放送はラジコで聴けるのがわかりました。パソコンやスマホで体験できて、すごく便利で音質もノイズ無しで聴きやすい。
オーディオで聞くことも可能。スマホ(iPhone7)のラジコアプリで放送局を選びRCD-N10でAirPlayのスピーカー出力して実現できました。その時は感動しましたね。ややこしいけど、すごいなと素直に感動しました。ただしオーディオ的な音質はサンプリング周波数のままなのでちょっと物足りない。いちいちスマホとプレイヤーをセットするのも面倒。

電波によるラジオ受信の快適さ

良好な受信状況でのステレオ放送は快適に聴けます。特にNHKFMのクラシック番組がいいですね。NHKFMは当初まったく聴こえてこなかったのが、現時点では最も良好で聴きやすい放送になってしまった! ラジオ放送をオーディオで楽しむという目的は達成!! これが苦労して唯一報われたことです。

電波によるラジオ受信の難しさ

最初に目指していた東京FMを聴きたいという目的は、半分程度の達成です。アンテナ一つのときはかなり良好でしたが、アンテナ2つにするとノイズっぽくなる放送局が増えた感じ。東京FMもその一つ。いろいろといじってもよくならなくて、これ以上アンテナをいじると、こんどはNHKFM受信が悪くなりそうなので、このままにしておきます。感覚的には、東京タワーからの電波は我が家では良好には受信できない!?ので、諦めました。

感想の結論

アンテナに到達する電波の質がすべてを支配します。アンテナを増やそうが、ブースターを入れようが、何をしても品質が最初より良くなることはありえないという、あたりまえのことが確認できました。NHKFMだけは微弱電波が増強された唯一の成果?電波は不思議な世界というのが本音の結論。

多様なメディアを利用する

いろいろ試したおかげで、パソコンでもiPhoneでもRCD-N10でもラジオが聴けるようになりました。いろいろな手段でメディアを楽しめる可能性が増えたのでうれしい。

おまけ

ねらったわけではないのですが、なんと150kmも離れた茨城県のFMラジオ放送が受信できるようになりました。下の図は150km離れた茨城県の送信所からの電波の方向です。

自宅から高鈴山までの距離を示した地図

受信できたのは東京スカイツリーなどと方角が合っていたからでしょうか。

グーグルアースの地図を加工して距離感をだしてみました

高鈴山ってどこかな?Google Mapで調べて、衛星写真で3D画像にしてみました。こんな遠くのFM電波が届くなんて楽しい。
音量は小さめ、現在左チャンネルのみの受信という状況ではありますけど。たまに聞いてみよう。

長々と書きましたが、これでおしまいです。ありがとうございました。

関連記事

後日、アンテナの設置方法についての改善に取り組んでみました。かなり効果があったという内容を”2つのアンテナでラジオがよく聴こえます”という記事にしてありますので、そちらもご覧ください。

“2つのFMアンテナでFMラジオ放送がよく聴こえます”へのリンクです。
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