カラスの親指 by rule of CROW’s thumb
[感想]
記録を見ると、読んだのは2度め。でも読んだ記憶が全くない。
やはり、呼んだあと少しでもいいから何か感想を残しておかないといけませんね。反省。
さて、タイトルが「カラスの親指」、一体何のことか想像もつかない不思議なタイトル。
読み終わって初めてその意味を知るというのが、この作品の全体を表している。
何を書いてもネタバラシになるので、もう気にしないで書いていきます。
まず、本当に緻密に組み立てられている。
最後の結末があって、そこに至るまでの登場人物や筋書きが組み立てられている。
詐欺師が騙されているというのが主題だが、その騙され方が二重三重に込み入っていて、
最後の種明かしでなるほどと納得。
確かに読み進めていくうちに、話ができすぎているという感じはしていた。
結果はそのとおり、できすぎていた話だというのだが、
真の主人公の、全てに賭けるその思いが読み終わって強く伝わってきた。
病気で死期を知らされて、自分が家族やまわりの人間に何一つよくしてやれなかったことを痛切に悔やむ。
そして残された時間で、自分の出来る限りの思いを込めて、トリックを仕掛ける。
仕掛けがあかされたあと、主人公の想いはいかばかりだったか。
主人公やその周りの人たちが皆善人だということから、最後やその将来に明るさが見えてきて
読み終わったあとに爽快感のようなものが残った。(2018.01.21)
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カラスの親指 by rule of CROW’s thumb
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道尾 秀介 講談社 2011年07月