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「黄金のバンタム」を破った男(百田尚樹)

あじさい

『感想』

ボクシングを自ら経験し愛してやまない百田尚樹さんだから書けた傑作ノンフィクション。ボクシングには全く関心のなかった私でも本書を読み終わってボクシングのことがなにがしかわかったような気になりました。
戦後の復興期とともに隆盛期を歩んだプロボクシングの世界の様子が、泥臭い人間像で描かれる登場人物の数々の描写で生き生きと伝わってきます。
特に感銘を受けたのは、当時の世界チャンピオンの価値の高さですね。頂点に達するには努力や才能だけではなく、運も味方につけないとなれない。そういうアタリマエのことが実感させられます。あとは信念みたいなものも必要なんでしょうね。
「黄金のバンタム」エデル・ジョフレの生き様、ファイティング原田の生き様、その他大勢の登場人物の生き様を著者の百田さんは温かい目で見つめながら描写します。成功しても失敗しても、精一杯やった男たちは輝いてます。
事実を丹念に調査して上質な物語に仕上がっています。小説よりも面白いノンフィクションです。(2021/07/15)
以下、本の表紙の紹介文を引用します。

打たれても打たれても前に出る男は、こんなにも美しい—敗戦から十余年、十九歳で世界王座についたファイチング原田、三年後、史上最強と言われていた「黄金のバンタム」エデル・ジョフレを破り、日本人初の二階級制覇。だが時代の寵児となった原田の前に、世界の強豪が立ちはだかる。一九六〇年代日本人を熱狂させた男の戦いを描きつつ、昭和の”熱”を見事再現した傑作傑作ノンフィクション。『リング』を改題。

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