サブタイトル:習近平体制崩壊前夜
「感想」
中国から日本に帰化した石平氏は中国社会の実態を知らせてくれる人です。氏の著作を3冊購入した中で発行日の古い方の1冊目が本書です。古いと言っても2014年6月初版なので今から8年前。習近平体制がこれから築かれようとしていた頃の中国社会の状況が詳しくわかります。
章立ては以下のようになってます。
第1章:第二の毛沢東を目指す習近平の狂気
第2章:安倍首相の靖国参拝騒動の顛末
第3章:どこまでも続く共産党内の権力闘争
第4章:ネット社会が中国を潰す日
第5章:民と官の断絶
第6章:立ちすくむ経済
第7章:防空識別圏騒動の真相
第8章:簿熙来事件を総括する
どの章も理解が深まる内容ばかりですが、特に私には第1章、第3章、第7章が興味深かった。
第1章は本書全体を俯瞰した内容だが、習近平氏が以下に時代錯誤の思想に固まっているかがよく分かる。
第3章は共産党を構成する内部の様子がよく分かる。3つの勢力”太子党”、”共青団派”、”上海閥”、これらを知らなければ中国の権力抗争を理解できない。
第7章は”防空識別圏”をとりあげている。通常の意味であれば各国で運用されているものであるが、中国の場合は領土拡張の位置手段としての運用を目論んだものであり、それが米国の強い圧力によって頓挫した、そういう経緯がよく理解できる。外交が駆け引きで成り立つということの片鱗が伺える内容です。
全体として、中国問題を知るための入門書として好適だと思いした(2021/05/13)