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カエルの楽園(百田尚樹)

せせらぎの花

感想

この作品は寓話でありフィクションと断ってます。主な例えとして「三戒」が出てきます。『カエルを信じろ』、『カエルと争うな』、『争うための力を持つな』というものです。もうひとつの主な例えが「謝りソング」です。『我々は、生まれながらに罪深きカエル すべての罪は、我らにあり さあ、今こそみんなで謝ろう』というものです。変な言葉であり歌ですね。が、作品を読んでいけば日本の現状を表していることがわかります。皮肉っているととるか憂いているととるか?それは読者のとり方次第です。
エピソードとして、ツチガエルが暮らす国にウシガエルが侵入してきます。国土の一部に侵入されたときにも、三戒や謝りソングの教えにしたがい、ついには殉教してしまう。という極端な結果を招いてしまいました。そんなバカなと思えるような展開でした。
日本の現状を思い、このままで推移することを想像すると、もしかしたらカエルの楽園と同じ結末になってしまいそうに思えてくるのがとても怖い。
日本人の歴史というのは、支配されても従順に従ってきた積み重ねのような気がします。領地というのは支配者が支配する空間ですよね。太古の昔から日本の中の領地は常に支配者次第で変わり、それに従ってきています。この作品を読んで一番考えさせられたのが、国土についての日本人の執着心です。日本人は国土への執着心が薄いのかも知れないと感じました。執着心の薄さが今の国民の根本にあるので、いろいろな国土(領土)の問題が解決を見ない原因の一つになっているのではないか。そう考えさせられました。(2020/08/11)
以下は、単行本の帯の紹介文を引用しました。

アマガエルのソクラテスとロベルトは放浪の末、平和で豊かな国「ナバージュ」にたどり着く。そこでは心優しいツチガエルたちが、奇妙な戒律を守り、のんびりと暮らしていた。だが、国を取り巻く環境は、だんだんと変わりつつあるようで……。
守護者が去り、隣国からの危機迫るなか、彼らの起こした行動とは
大衆社会の本質を衝いた、寓話的「警世の書」

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