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ジェノサイド(高野和明)

感想

本作品は単行本で読みました。文章がぎっしり詰まった590ページでボリュームがあります。
難病に苦しむ子供を助ける特効薬の開発がテーマの一つです。
最初に謝辞や参考文献を見てしまいました。参考文献の多さに驚きましたが、著者の勉強熱心さに感心します。専門用語的な文章もたまにありますが、難解ではありません。こだわらずに読み進めれば後半はあっという間に読み終わった印象です。創薬というものについてのぼんやりとした知識がついたことは思わぬ儲けものです。
もう一つのテーマが「人間の本質とその限界」と要約したらよさそうです。
私なりの言葉では、”他者を受け入れず本質的に殺し合いをする生物”だと解釈しました。
ここまで割り切ってしまえば、世界中で起こっている紛争がなぜ無くならないのか納得がいきます。そしていずれは滅びてしまうと警鐘を鳴らします。
新人類がアフリカのコンゴのピグミーの村で生まれます。複雑な体系を理解するのに優れた知能を持っています。物語のなかで、その優れた知能が現人類を圧倒してしまいます。
幸いにして、物語では最悪の事態にはなりませんでしたが、”人類が現在のような争いを繰り返しているといずれは滅亡してしまうぞ”いう警告と受け取りました。
人間の本質に絶望してしまうのか、改革に希望を持って生きるのか、それは読者それぞれの考え方次第ですね。
(2019/11/08)

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