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沈黙の町で(奥田英朗)

感想

中学2年制の名倉祐一が部室の屋上から転落し、死亡した。屋上には五人の足跡が残されていた。事故か?自殺か?という導入部から始まって、中学生のいじめ問題が中心となって物語が進んでいきます。
被害者家族や加害者とされる少年とその親、学校、警察などの様々な視点で描写が続きます。
被害者の家族の子どもを思う気持ち、加害者とされる少年たちの親の子供を思う気持ち、身勝手だけど真実の気持ち。それぞれが実に丹念に描かれます。これぞ奥田ワールド。
中学生の時期は子どもと大人の間の不安定な時期なんですね。一つのことを思い込んだり、付和雷同したり、いろいろです。私はその頃のことはとっくに忘れてしまいましたが。
読んでいて、そういう子どもたちを相手にする中学校の先生って本当に大変だなと感じます。その仕事の大切さも感じます。
亡くなった名倉祐一の奇異さがどんどん明らかにされていきます。なぜこのような少年が育ったのかがとても気になりました。
分量が多く作品に明るさがあまり感じられないのが読んでてちょっとつらいですが、読んで損はしないでしょう。
(2019/08/23)

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