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ワイルド・ソウル(垣根涼介)


ワイルド・ソウル〈上〉 (新潮文庫)

ワイルド・ソウル〈下〉 (新潮文庫)

[感想]

やっと読めました。
最初文庫本の下巻だけを入手。そのあと、105円の上巻をちょっとしたタイミングで買い逃して以来2,3カ月。
上巻を400円で買う覚悟でブックオフに行きそれを手に取り、それでもと、未練たらしく単行本の105円コーナーを覗きます。
奇跡です!ありました!!本の不思議な巡り合わせはやはりあります。

夢中で読みました。最初はかみしめるようにして、後半はただただ先を読むのが楽しみで、最後はもう終わりに近づくのがもったいない。
すごいストーリーです。日本からブラジルへ移民した人々の、表しようのない地獄の生活。
知りませんでした。知らされていませんでした。こういうことが、これまでの日本では数知れずあるのだろうと思い至り、ぞっとします。

日本の外務省に復讐するための計画が実行されます。その中でも、人は傷つけない・殺さない配慮がされている。奇想天外のようで、実際に起こっても不思議ではないような展開。このストーリーをまねした犯罪が起こらないかとちょっと心配になるくらいです。

計画自体は成功しました。

読み終わったとき、誰かが幸せになったのか?とフト自問。
ストーリーの意図、作者の意図も、こういう悲惨な状況が日本にあることを国民に知らしめる。そこにあったような気が私はします。そういう意味で大成功です。

文庫本のあとがきで、このようなことを筆者の垣根さんは書いています。

今おれが見ている世界の感覚を具現化したい。
書きたい世界の商品としての消化をきちんとしたい。

そう悩み、考え抜きながら、ぼんやりしたものが見えてきた時点で、
南米へ行記、各地を訪ね歩いた。

そして結論を得た。
九ヶ月後、この作品を仕上げた。
書き上げたとき、確かな手ごたえがあった。

おれはやった。

この本は、私がその当時、持てる力のすべてを出し尽くした作品です。

作者の渾身の熱気が伝わってきます。
(2013.05.14記)
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