女帝 小池百合子(石井妙子)

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『感想』

小池百合子氏の半生を著名なノンフィクション作家が克明に記した著作。
私は小池氏のメディアに映る振る舞いや、何も実効性のあることをやってきていないのになぜ人気があるのか、なぜ都知事を続けていられるのかが不思議でなりませんでしたが、その謎が本書を読んで解けた気がします。自分で作った物語で世の中をのし上がっていく。この状態を許している今の社会の状況が本当に怖くなってしまいました。日本はこのままでいいのだろうか。

都知事再戦の直前に本書は発行されていますが、ほとんど影響を与えなかったようです。どうかしてますね。

ネットの記事を探してみると、その頃の著者のインタビュー記事が見つかりました。著者は何を考えていたのか、感じたのか?最後の部分を長いですが引用しておきます。
『女帝 小池百合子』著者に聞く、小池都知事に賛同できない理由から引用。

自分のことしか考えていない小池氏という人間が、ひたすら階段を上って「女性初」として社会の称賛を浴びていく。どうして彼女に出世の階段を上らせてしまったのか。社会を見渡せば“ミニ百合子”のような女性はたくさんいます。そのような人が出世してしまうという社会でいいのか。地道に努力している女性が踏みつけられていいのか、考えさせられました。

歴代内閣における女性閣僚の多くがそうですが、どうしても男性側がピックアップして選ぶ。彼女たちは高い地位にいる男性によって選ばれた女性であって、女性たちの塊の中から上へと押し上げられた人材ではありません。

 男性側も、女だから大臣にはしてやるが、総理大臣なんてとんでもないというのが前提で、女性閣僚はあくまでもアクセサリーのような存在です。また最近の女性政治家を見ていると、有能で素敵な私を見てほしいという、自分の虚栄心を満足させたいという思いから政界進出するタイプが多いように見えます。

日本では残念ながら女性側の人材の裾野の小ささもあり、メルケル氏や蔡氏のような、能力があって実務ができ、真摯な言葉で人を感動させることができる女性リーダーがなかなか出てきません。日本でも早く出てきてほしいと思います。

わたしもそのとおりだと思います。

以下、本のカバーの説明文の引用です。

女性初の都知事であり、女性初の総理候補とされる小池百合子。
「芦屋令嬢」、破天荒な父の存在、謎多きカイロ時代。キャスターから政治の道へ。男性社会にありながら常に「風」を巻き起こし、権力の頂点を目指す彼女。誰にも知られたくなかったその数奇な半生を、つきまとう疑惑を、百人を超える関係者の証言と三年半にわたる緻密な取材のもと描き切った。
あなたは一体、何者なのですか……

救世主か?
”怪物”か?
彼女の真実の姿。

彼女は宿命に抗った、そのためには『物語』が必要だった。
[目次]
序 章 平成の華
第一章 [芦屋令嬢」
第二章 カイロ大学への留学
第三章 虚飾の階段
第四章 政界のチアリーダー
第五章 大臣の椅子
第六章 イカロスの翼
終 章 小池百合子という深淵

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