マドンナ・ヴェルデ(海堂尊)



マドンナ・ヴェルデ (新潮文庫)

[内容紹介]

この作品の母娘の考え方の違い、その隔たりの大きさには驚かされた。代理出産というテーマやその母親が代理母になるということは初めて知らされたし、確かにそれでいいのだろうか?と考えさせられもする。
母みどりを聖母に例え、娘理恵を魔女に例える。聖母は人間らしさを追求し、魔女は医学の進歩のためならすべてを犠牲にする。その対立が、生まれてこようとする子供を対象にして繰り広げられていく。
結局、魔女のかたくなな心は聖母に解かされるのだが、代理出産の問題を世に問うことについてはなかったことになってしまう。これでよかったのかな?人間的には子供を犠牲にしてでも目的を達成することは許されないから、この結末しかなかったのだろう。
小説家の海堂尊にとっては、この問題を作品にして世の中に問うことで目的が達成されただろうし、松坂慶子さん主演のテレビドラマとして放送されたのだからなおさら満足だろう。(2017.06.21)
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