ジェノサイド(高野和明)



ジェノサイド 上 (角川文庫)

ジェノサイド 下 (角川文庫)

[感想]

この作品は面白い。インターネットの知識が適当にちりばめられていて、知識欲がくすぐられる。人類の進化についてのいろいろな情報も目新しくて、いかにもこれから新人類が生まれてきてもおかしくないという説得力が感じられる。アメリカ大統領の強大な権力。そしてその戦争を好む資質がそのまま国の動きに現れるなんて、まさしく現代史を見ているようだ。
上巻では、長いページを費やして、日本の大学院生、古賀研人がなぜ事件に巻き込まれたのか。そして4人の傭兵がアフリカのコンゴに派遣された真の理由などが明かされていく。それにしてもすべてが、ターゲット側の計画で操られていたというところは、なかなかよくできている。というか、この発想がなければ、この小説自体が成り立たなかったか。下巻を読むのが楽しみ。(2017.02.22)

ジェノサイド(下)(高野 和明)

[感想]

下巻は実質1日で読み切っちゃった。この本を読み終えるまではほかの何も手につかない。そんな感じで、とにかく話の展開に無理がなく読み進められた。
巻末の解説に書いてあるように、大きな嘘を(話の全部が架空)つくのに、子供だましにならないように周到な調査で緻密な嘘が積み重ねられている。参考にした資料は200冊にも及ぶという。参考文献のリストもほかの作者の作品についてくるものとはボリュームが違う。
タイトルのジェノサイド、大量虐殺について、コンゴの大量虐殺とか、人類がこれまで行ってきた大量虐殺の真実に触れさせてくれると共に、人間の本質について考えさせてくれる機会を与えてくれた。なぜネアンデルタール人とかいろいろな原人が滅びて、ホモサピエンスだけだ生き残っているのか?その理由については納得させられてしまう。人間の本質というものについての考え方を変えさせられてしまった作品。
難病の特効薬の開発が、新人類の知能を借りれば飛躍的に進められるという設定は、仮想でなしに現実になってくれればいいのにね。(2017.02.24)
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