クロノス・ジョウンターの伝説(梶尾真治)



クロノス・ジョウンターの伝説 (徳間文庫)

[感想]

だれにでも、あの時こうしておけばよかったという記憶や思い出があるものですが、この小説は、クロノスジョウンターという一種のタイムマシンで、過去に戻ることができるという設定で、3つのエピソードが綴られます。
ただし、過去に戻ることについての代償が大きく、時間旅行者は、出発した年代よりかなりの未来にしか戻れません。
戻って来た時は”浦島太郎”状態というわけです。
それでも自己を犠牲にしてでも、過去に残したこだわりを解消しにそれぞれのエピソードの主人公が過去へ出かけていきます。

エピソード1は、心を寄せる女性が、事故にあって亡くなってしまう。その事故の前に戻って女性に事故に合わないために逃げるように説得に行くが、時の流れに逆らって過去を変えることがかなわないというお話。

エピソード2は、過去の時代に出会った男女が恋人関係になってしまうが、男性は未来に戻ってしまう。
男女の仲は、時間に引き裂かれてしまう。そして残された女性は、失踪してしまう。
未来に飛ばされた男性も女性のことが忘れられない。そういった中で、作者は素敵な結末を用意してくれました。

エピソード3は、女医の主人公が、幼いころ入院中に知り合った素敵なお兄さんが、難病で亡くなってしまったつらい過去をひきづっている。ところが難病を治す薬を入手できたことから、過去に戻って、治療に当たるというお話。

いずれのエピソードも、過去を変えたら未来が変わってしまうという、タイムパラドックスを念頭に置きながら、うまく話をまとめてあり、それぞれが素晴らしいラブストーリーになっています。

作者の梶尾真治さんは、こういった時間SFが大得意ということも初めて知りました。
是非、関連本を見つけて、読みふけってみたい作者の一人になりました^^
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