ようこそ、わが家へ(池井戸潤)



ようこそ、わが家へ (小学館文庫)

[感想]

銀行のことを書かせたら右に出る者のいない作家池井戸潤。この作品も銀行員が主役だけど、ナカノ電子部品に総務部長として出向中の身。作品のかなりの部分が、家族一丸でのストーカーとの対決と、ストーカーの正体を暴く話に割かれていて異色。気の弱くて真面目な倉田は、会社では営業部長の真瀬にさんざんやりこめられ、社長の持川からもお客様扱いされて信頼を得られない。典型的な出向社員の姿が描かれる。救いは、部下の摂子が切れ者で頼りになること。あまり考えられないシチュエーションだけど、彼女がいないとストーリーが進まないからしょうがないか。
後半からは、いつもの池井戸ペースではなしが進んでいく。営業部長の不正を暴くところでは、気弱な会社員の仮面?をかなぐり捨てて、というのはオーバーだけれども、銀行員としてのあるべき姿を思い出して、ブレークする。
ストーカーの正体が暴かれてからの、最後のシーン。やさしさにあふれて、自分のできることを毎日一生懸命やれれば、人生それでいい。といった感じで終わりますが、ハッピーエンドなんでしょうね。いろいろな謎が最後にはきちんと謎解きされていて、親切です。(2017.01.24)
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