もののふ(柴田錬三郎)



もののふ (新潮文庫)

[感想]

無名の人たちを掘り起こして、その人生を柴錬流に料理する。
この作品では、気骨と心意気がテーマの作品が多いようだ。欲のためでなしに、自分の信じた道を進む。傍から見るとばかばかしく思われても構わない。そんな男たちの姿が描かれている。
敵討ちの話では、そんなにまで苦労して敵を討たなくてはいけないのかと思わず言ってしまいそうになるが、当人たちにとっては命にも代えられない大事な人生のテーマのようだ。それを決して否定できではなしに、柴田は淡々と描いていく。
「浪士組始末」では、清川八郎なる人物については名前しか知らなかったが、黒幕として暗躍した人物としての認識を新たにすることができた。それにしてもあっけないと言えばあっけない最後で、悲哀を感じる。
「本能寺」はちょっとテーマとは外れているが、猿飛佐助と服部半蔵が有名な歴史を作った立役者だというストーリーは、ひょっとしてありかなと思わさせられるほど、リアリティがある。
「竹橋血闘譚」歴史には全く現れてこない話だが、二百数十名もの兵卒がリーダーもなしに反乱を起こしたという事実に驚くとともに、そういう行動に駆り立てられざるを得なかった時代背景を知ると、いつの時代でも庶民は虐げられたままなのだなと感じさせられてしまった(2017.07.16)
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