「カエルの楽園」が地獄と化す日(百田尚樹・石平)

紅葉

感想

寓話の「カエルの楽園」の内容を2016年時点での日本と中国の状況に照らし合わせたりしながら行われた、百田氏と石平氏の二日間の対談の内容をまとめてあります。どれだけ中国が脅威であって日本の現状が危機的状況かを具体的に知らせてくれる警世の書です。
本書を読むといろいろな現実がよくわかってきます。なぜ中国が海洋進出をしてくるか、それは中国国内の環境汚染問題が大きいことがわかります。中国がチベットやウイグルでどれだけひどいことをやってきているかがよくわかります。なぜ中国人がそのような残虐性を持っているのか民族の歴史から知ることができます。明らかに中国人固有であり、話せばわかり合えるものではない、根底が異なることを肝に銘じなければなりません。恐ろしくなりました。

日本の現状を憂えます。平和さえ信じていれば戦争は起こらない、話し合えば最後にはわかり合える、戦争にさえならなければ無人島の一つや二つぐらいくれてやってもいい、そのような風潮が蔓延しています。国防とか言葉に出すことすら平和の障害になりかねないと言われそうな、そんなはばかられる雰囲気に包まれています。
日本が太平洋戦争で負けても占領軍に大量虐殺とかの目に合わなかった。それはなぜか?特攻兵士や玉砕で散っていった犠牲になった人たちが日本人の恐ろしさで米軍を心底震え上がらせたおかげだといいます。日本の現状はどうか?何もしない、事を荒立てない、そうすれば平和が保たれるという風潮です。平和は勝ち取るもの。そのために死んでいった人々を敬うどころか、外国に批判されてビクビクしている現状。国を守るということについて、少しでも違うことを言うと右翼的だか左翼的だかは知りませんがバッシングの嵐。平和に対する基準が違うのは日本だけ、世界の常識とはずれている日本の現実、そういうことに気付かされます。

反省とか自虐心は日本人の美徳ではあるけれども、そこに中国につけこまれています。日本人がこぞってそれを増長させています。読めば読むほど、日本はもうだめなのかもしれない、そういう絶望感に囚われてしまいそうになります。ある意味でこの本は危険な本かもしれません。どうせもう何をやってもだめよとあきらめてしまう、日本人をますますだめにしてしまいそう。読む人によってはそちらに転んでしまいそう。

とはいえ、本書はこれからの日本をどうするかの答えを読者に問いかけているのだと思います。そこで意識を高く持ちたい真面目な読者の一人の私は、私なりに何が問題でこれからどうすればいいかを考えてみます。
何が問題か?一番大きいのは日本や日本人がこれからどうあるべきか、目的がはっきりしない、どう生きていくかの指針がない、これが大きな問題なのだと思います。心の支えとでも言うのでしょうか。日本人としての意識の持ち方でもいいです。
わたしは日本人としてもっとプライドを持ちたい。そのためには自分たちが何なのか、自分たちの歴史をもっと正確に知りたい。そのうえで”私はこういう日本人です”と胸を張って言えるようになりたい。そのためには世界の中で日本が置かれている現状を正確に知りたい。私はこれからの人生をこの意識を持って勉強しながら生きていきたいと思います。
一人ひとりが自覚を持って行動すれば、地域が良くなり、自治体が良くなり、その集まりとして国もしっかりしてくる。国がしっかりするということは、自ずと自分たちの安全は自分たちで守る、他国とも対等な関係で協調していく。そういう流れになればいいな。

政治家とかマスコミがただ流されているだけでどうしようもないというのは、多分誰でもが感じていることじゃないのかな。
対談の最後にこれからの政治についてヒントになることが初めてでてきました。長くなりますが引用します。

石平-日本の野党の問題は、安全保障について現実的な対案を出さないことです。アメリカの共和党と民主党は、経済政策や福祉などの国内政策の違いを争っていますが、国防政策に関しては、どちらが政権に就いても基本的な継続性は保たれます。
百田-世界各国で保守とリベラルが政治的に争っていますが、実際には、どちらの政党も、愛国を価値観の軸としている点で変わりはありません。ところが日本の野党の場合、リベラルは反日を意味します。日本を貶め(おとしめ)弱体化させるさせる政策なら賛成、国防や安全保障を真剣に扱うのには反対。反日を政治の目的にしているから議論がおかしくなる。

国会中継を視ていてもちっとも議論が深まらない、噛み合わない原因はこんな根本的なところにあったんですね。こんな野党なら必要ありません。いっそもう一度自民党を2つに割って与党と野党にして国会を運営すればいいとぐらい思ってしまった私に気づきました。これからは自民党の議員一人ひとりが何を信条にしているかなどに注意していきたいと思います。少しは期待を残して野党の人でも口先だけでなくて意識の本当に高い人が見つかれば注目していきたいと思います。(2021/02/02)以下は本の帯の紹介文の引用です。

軍艦、戦闘機の次はどんな手を打ってくるか、中国は本気だ!最悪の日本侵略シナリオをシミュレーション。
日本人に襲いかかる軍事衝突、巨額賠償請求、虐殺の運命。
[目次より]
はじめに [石平]
第1章 戦わずして尖閣を奪われるシナリオ
第2章 中国はなぜ日本侵略を企むのか
第3章 チベット、ウイグルでみた恐ろしい支配の実態
第4章 沖縄「独立」を足がかりにした侵略
第5章 日本が中国に占領されるとき
終わりに [百田尚樹]

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