明日の子供たち(有川 浩)

花

感想

有川さんの作品は、言葉が洗練されていてとても読みやすいので好きです。言葉に引っかからずにすんなりと読み進めていくことができます。この”明日の子供たち”もそのひとつ。どんどん読めるので先に進むのが惜しくなります。
最初に裏表紙の紹介文を引用します。

三田村慎平は転職先の児童養護施設で働き始めて早々、壁にぶつかる。生活態度も成績も良好、職員との関係もいい”問題のない子供”として知られる16歳の谷村靖子が、なぜか慎平にだけ心を固く閉ざしてしまったのだ。想いがつらなり響く時、昨日と違う明日がやってくる。先輩職員らに囲まれて成長する日々を優しい目線で描くドラマティック長編。

作品は5つの話で構成されています。
引用文の谷村靖子が慎平にだけ心を固く閉ざすことについてのお話が最初に出てきます。その中で、一般の人の児童養護施に入所している児童への可愛そうという思いが、どれだけ思い上がりなのかを具体的に読者に教えてくれます。押し付けでなくです。
2つ目の話で、”問題のない子の”谷村靖子とは対極の、”問題のある子”として杏里が登場。3つ目の話では職員の猪俣が登場。それぞれの立場で一生懸命に生きています。
4つ目の話では「あしたの家」という養護施設ではカバーできない部分、安心して帰れる場所の確保という課題を通して、養護施設を卒業したあとのフォローの重要さを教えてくれます。
5つ目の最後の話では、靖子が大勢の大人の前で、養護施設やそこでクラス子供たちの真の姿を発表し、大人たちの目を開かせる、希望をもたせる形で終わっています。
このお話は、実際の出来事をベースに作られているそうです。現実もこの小説のように明るく開けていけばいいなと思いました。
(2020/03/01)

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