いじめへの反旗(高嶋 哲夫)


感想

高嶋さんが20年前にいじめ問題を取り上げた作品。
主人公の小野田雄一郎が米国経験の長い帰国子女として中学2年に転入するという設定にしてある。
米国での習慣と日本での習慣の違いが際立ってくるので、うまい設定だと思う。
雄一が最初に友だちになった伸一がいじめられっ子でついには自殺してしまうのだが、学校も警察も事故として処理してしまう。いじめが原因での自殺であると確信した雄一は、それを周囲に認めさせるために独自の活動を展開していくというのが主なストーリとなっている。
いじめられっ子の心理が興味深い。
いじめられてもそれをいじめとは認めたくない。親にも教師にも隠そうとする。そして自分より弱いものをいじめて自分はいじめられていないと振る舞う。
周囲の子どもたちの反応も興味深い。
自分がいじめられていなければ、いじめを見てもあまり興味を示さない。下手に関わると自分がいじめられないかと恐れる。いじめには積極的に加担するわけではないが、一緒にいじめたり、いじめではないことにしてしまう。
周囲に聞きまわっても誰も味方になってくれない雄一郎は、弁護士を頼りついには裁判まで起こしてしまう。
この展開は社会派の高島さんらしい。
派手なアクションは一切ないけれど、いじめ問題の一面を丁寧に描いた作品だと思います。
(2019/08/30)

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